オフに内面から自分と向き合い。

　平昌五輪前、数シーズンにわたって苦しめられた右ひざの痛みが減ったことも、口調を明るくしている。

「痛みなくトレーニングができているというところも、自分の中でストレスフリーになっています。まったく痛くないわけではないですが、昨シーズンみたいにテーピングでガチガチにして滑ってるということはもうない。いろいろなことを考えて、それを次の練習で実践できる体でいられるというところに、楽しみを感じます」

　オフシーズンのトレーニング中には、「スケートをやっている意味」をあらためて考え、内面から自分と向き合う時間もあったという。

「答えは出ていないのですが、やはり、自分の中で1つのモチベーションとしては妹（の存在）があります」

　平昌五輪で菜那は、団体戦であるチームパシュートと、戦略面が重要なマススタートで金メダルを手にしたが、タイムレースの個人種目では世界上位との差は大きく、出場した5000mで12位という成績だった。

今季は来季に向けての土台作り。

　片や妹の美帆は、菜那が指摘するように1000mと1500mの2種目で五輪の表彰台に上がっている。

「自分はまだそこでは世界と全然戦えていない。だから、そこで戦いたい、上がっていきたいという気持ちがあります」

　燃える思いは再び強くなっているのだ。

　ただ、今シーズンは、ひざの痛みを取っていくことを第一に考えながらトレーニングをこなしてきた。いわば、スロー調整。だから、シーズンが始まってからどういうレースパフォーマンスになるかは未知数だ。

　しかし、結果によって焦ることはないだろう。今シーズンは来シーズンの土台作りという中期的なプランを視野に入れての取り組みだからだ。

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