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杉田とダニエル、そして西岡良仁も。
日本男子がツアー優勝続きの理由。 

text by

山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2018/10/05 07:00

杉田とダニエル、そして西岡良仁も。日本男子がツアー優勝続きの理由。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

大ケガを乗り越えてATP優勝を飾った西岡良仁。テニス日本男子勢の奮闘ぶりは非常にポジティブなものだ。

西岡「だからこそ誇っていい」

 また、今年ここまでの優勝者の中で100位以下は6人しかいないが、うち2人がダニエルと西岡だ。国別で見れば、アジアの中で類を見ないばかりでなく、世界的にも際立っている。すでに引退、あるいはピークを過ぎた先輩たちが脈々とつないできた世界での挑戦の歴史、地道な収穫の積み重ねも決して「今」と無関係ではない。

 特に男子のテニスで体の小さい日本人は世界で勝てないと言われていたのは、そう遠い昔ではないが、西岡は自分の体格にこう胸を張る。

「190cmオーバー、80kgオーバーという選手がいっぱいいる中で、僕らのテニスは、彼らみたいにパワーがあってフリーポイントがたくさん取れて試合をスムーズに進行できるわけじゃない。そういう中で戦い続けてることを、僕たち背の低い選手はだからこそ誇っていいんじゃないかなと思います」

 そんな西岡の初優勝は、この先にどういう連鎖を起こすだろうか。楽しみでならない。

ダブルスも錦織も全員が上昇ムード。

 日本男子の活躍を言うなら、ダブルスも放っておけない。1年前の楽天オープンで、選手登録を日本に移して間もないマクラクラン勉が内山靖崇とともにツアー初優勝を果たした。そのマクラクランは今季も躍進を続け、西岡が優勝した深センでもダブルスを制覇。昨年初めには200位だった26歳が今やトップ20プレーヤーだ。

 錦織は復帰後まだツアータイトルがないが、グランドスラムの上位に絡む存在にまで順調に復活してきた。「なおみちゃんが早く1位になって、なおみちゃんのほうが有名になってくれると、自分のほうに目が向かなくなってもうちょっとフリーになれるかな」などと冗談めかし、昨年手首のケガをする前よりも明るくなったように見える。

 その錦織がベスト8に勝ち進んでいる楽天オープンでは、20歳の綿貫陽介がツアー初白星を上げた。とにかく全体のムードがいい。その中で、杉田は今季スランプに陥っているが、この上昇ムードに大きな役割を果たした努力家の復活を強く願っている。

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