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アーセナルが遂に氷河期を脱出?
エメリ新体制下での進化の数々。

posted2018/09/29 11:00

 
アーセナルが遂に氷河期を脱出?エメリ新体制下での進化の数々。<Number Web> photograph by Uniphoto press

途中交代のエジルを労うエメリ監督。ベンゲル後のアーセナルを自分色に変えつつある。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 9月20日に、ロンドン出張中の知人を連れてアーセナルのヨーロッパリーグ(EL)戦を観に行った。

 外壁にクラブ・レジェンドの面々が描かれているエミレーツ・スタジアムの外周を一回りしながら、初訪問の彼にアーセナルの過去について話をしていると、「ベンゲルさんのアーセナルは2位止まりのイメージしかない」との反応が返ってきた。

 実際のアーセン・ベンゲル前体制下では、無敗で達成された2004年の前回優勝を含め、3度のプレミアリーグ制覇が実現されている。

 しかし、彼の好きなアンドレイ・アルシャビン(現FCカイラト/カザフスタン)のアーセナル入りは'09年(在籍は約4年半)。その頃のアーセナルは、最終的に「長すぎた」と言われたベンゲル体制の後半だったのだ。

アダムスも監督交代を評価。

 昨季終了後の監督交代を「エキサイティング」と言って歓迎したのは、エミレーツに銅像が建つ偉人の1人、トニー・アダムスだ。

 現役時代にベンゲルから「ディフェンス学の教授」と讃えられたこともある元CBは、22年間に及んだ選手生命のすべてを捧げたクラブに対する愛情の裏返しか、識者としてのアーセナル評は常に辛口ときている。

 ウナイ・エメリ新体制下の今季も、その姿勢は変わっていない。第4節カーディフ戦(3-2)後には、勝ちはしたが昇格1年目の降格候補に2度追いつかれたチームを「ベンゲル・パフォーマンス」と不満を示していた。

 確かに、開幕2カ月目のアーセナルを「より良い」、「より強い」チームと呼ぶことはできない。OBのアダムスを含め、ファンには歯痒いところだろう。

 中立的立場から言っても、マンチェスター・シティ戦(0-2)とチェルシー戦(2-3)で連敗スタートしたアーセナルが、再びリーグ優勝争いの仲間入りを果たすには相当な時間を要するだろう。

【次ページ】 足りないものは数多くあったが。

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