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松本山雅内定・山本龍平が熱く語る、
名門四中工の主将としてのノルマ。
posted2018/09/27 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
名門校で全国大会に出て活躍をして、プロになりたい。そう強く思っていた。そう強く願っていた。そして、どこかで「すべてとはいかなくても、どれか1つは実現できるだろう」と思っていた。
だが、入学前に設定をした最低限の目標である全国大会出場という目標すら実現できていない。気がつけば、もう高校3年生になっていた。
四日市中央工のDF山本龍平は、9月18日に松本山雅への来季入団内定が発表された。これにより彼のプロになるという、最大の目標は達成された。だが、前述した通り、彼は高校に入学してから一度も全国大会を経験していない。
四日市中央工と言えば、高校選手権に32回出場、優勝1回、準優勝3回、ベスト4が3回。インターハイは出場28回で優勝2回、ベスト4が1回を誇る、まさに名門中の名門。OBも豪華で中西永輔と坪井慶介(レノファ山口)の2人のW杯戦士のほか、現役では福田晃斗(サガン鳥栖)、浅野拓磨(ハノーファー)、坂圭祐(湘南ベルマーレ)、森島司(現・サンフレッチェ広島)ら錚々たる選手を輩出している。
「入る前は四中工で全国出ることが当然だと思っていて、周りの人をマイナスの意味で驚かせてしまった」
ことごとく全国大会へ進めず。
山本は現在キャプテンを務める。入学直後から左足の正確なフィードと運動量、そして突破力を買われ、左サイドバックとして1年時からレギュラーの座を掴みとった。
だが、その年のインターハイ予選、選手権予選で立て続けに敗退。しかもプリンスリーグ東海においても、1勝13敗4分けの成績で県リーグに降格。まさに踏んだり蹴ったりのルーキーイヤーだった。
「来年こそ」と迎えた2017年は、1年生にFW森夢真、田口裕也、MF和田彩起ら頼もしいタレントが入学し、1、2年生主体のチームとなった。山本は左サイドバックからFWやボランチとしてプレー。彼を含めて能力の高い選手は多いが、組織として噛み合わず、このシーズンもインターハイ、選手権ともに予選で敗れ、県リーグでもプリンスリーグ東海昇格を逃した。
「1年から出ているのにもかかわらず、予選で全部負けて“俺が出ているから負けてしまうのかな……”と思うことも正直ありました。でも、そういうことを3年生になって思ったらアカンと思うし、自分が出て全国に連れて行くんだという気持ちでやらないといけない」