「山雅サポの皆さんには……」

「以前は僕が顔を上げても動き出しがなかったけど、僕がボールを持って顔を上げると、自分を信じて走ってくれるようになった。それが試合中に感じること。キャプテンとしてようやく信頼されたなと思えて嬉しかったし、四中工でより自分のプレーが出せるようになったと思います。

　それに凄く、四中工が好きになりました。練習試合でも強いチームと戦えるし、ハイレベルなフェスティバルにも参加させてもらえたからこそ、全国に出ていなくてもスカウトの方の目に留まるチャンスがあった。それは名門の看板とか、伝統があるからこそですよね。

　偉大な先輩が四中工という伝統を築き上げて来てくれたからこそだし、何より樋口監督の偉大さが僕をプロに導いてくれたと思う。だからこそ、監督を始め、周りの人たちに恩返しをしたいし、偉大な先輩達にも喜んでもらえる結果を出したい。

　6回目のチャンスはラストチャンス。絶対に選手権に出場して、上位を狙えるチームにしたい。今までのサッカー人生で一番頑張らないといけない時だし、山雅のサポーターの皆さんには、アルウィンの舞台に見合うプレーを選手権で見せたいので、いいパフォーマンス、チームとしても結果を出したい。初の全国の舞台を踏む姿を見てほしい」

　最低限の目標を達成して、山本龍平は決意新たにまっすぐに前に進んで行く。四中工の伝統と看板を心に抱いて――。