“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
元鹿島・鈴木修人が大学で名監督に。
就任2年目にして番狂わせを連発。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/06 08:00
高校、大学、そしてJリーグと名門チームに所属し続けた鈴木修人監督。まだ32歳、指導者としての伸び代は大きそうだ。
決勝で法政相手に肉薄したが。
迎えた決勝戦の相手は前回の総理大臣杯覇者である1部・法政大。U-21日本代表のエースストライカー上田綺世、トップ下には1年生の田中和樹、ドリブラーの右MF紺野和也らプロ注目の錚々たるメンバーが顔を揃えており、明治学院大は前半から押し込まれた。
しかし、GK松田健太郎のファインセーブや、澤田大登と高橋龍世のCBコンビを中心に身体を張った気迫のディフェンスを展開。逆に前半アディショナルタイムにMF鶴田哲司がPKを獲得し、これをDF新井博人が冷静に決めて、明治学院大が先制したのだ。
決勝でもミラクルは起こるのかと期待が膨らんだだが、後半に入って法政大がさらに猛攻を仕掛ける。60分、62分と立て続けにゴールが決まり、明治学院大は一気に試合をひっくり返された。
このまま失点を重ねるかと思われた明治学院大だが、再び集中力を取り戻し、堅い守備から鋭いカウンターを繰り出す。72分の1年生MF武田義臣のミドルシュート、85分の新井のFKなどで可能性を感じさせたが、快進撃はここで潰えた。
結果は1-2の敗戦で準優勝。だが、カテゴリが2つも上のチームを撃破し、決勝戦で見せた激闘は準優勝に相応しいものだった。
市船→早大→鹿島の鈴木修人監督。
「こういう結果が出て、学校の名前も少しは広がってくれたと思いますし、これから『明治学院大でサッカーをやりたい』と思ってくれる人が増えてくれればいいなと思います」
試合後、こう語った男こそ、明治学院大サッカー部の監督である鈴木修人だ。
この名前を聞いて、ピンと来た人もいるだろう。彼は高校時代、市立船橋高校のレギュラーとして、カレン・ロバート、増嶋竜也、佐藤優也らとともに活躍。2年時に第81回全国高校サッカー選手権大会で優勝すると、3年時には第13回高円宮杯全日本ユースサッカー選手権(現・高円宮杯プレミアリーグ&チャンピオンシップ)を制し、2度の全国優勝を経験した。
早稲田大入学後も総理大臣杯準優勝、インカレ優勝を経験し、ユニバーシアード日本代表にも選出された。そして2008年に鹿島アントラーズに入団し、そこから湘南ベルマーレ、栃木SC、ギラヴァンツ北九州を渡り歩き、2014年をもって現役を引退した。
その後、2015年に明治学院大サッカー部コーチの任に就き、翌年にはヘッドコーチ、2017年に監督に就任した。