“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
元鹿島・鈴木修人が大学で名監督に。
就任2年目にして番狂わせを連発。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/06 08:00
高校、大学、そしてJリーグと名門チームに所属し続けた鈴木修人監督。まだ32歳、指導者としての伸び代は大きそうだ。
監督2年目、大きなターゲット。
しかし、ヘッドコーチを務めた翌年は開幕7連敗などリーグ11位に終わり、1年で東京都リーグへの降格の憂き目にあった。そして監督1年目の'17年は1年での東京都リーグは制するも、一発勝負の昇格決定戦で関東学院大に0-1で惜敗。関東2部復帰はならず、今年も東京都リーグからのスタートとなった。
そして、監督2年目となった今年、アミノバイタルカップは1つの大きなターゲットだった。
「今年はまたイチから立て直そうとスタートしました。ずっと『関東に明治学院大の名を知らしめるには、この大会(アミノバイタルカップ)しかない』と選手達に伝えました」
鈴木が大学生を指導する中で、強い信念がある。それが冒頭で紹介した言葉だ。
布さん、大榎さん、キジェさん……。
「強い者が勝つのではなく、勝った者が強い。これは布啓一郎先生(市船時代の恩師。現ザスパクサツ群馬監督)の言葉で、いま僕が常日頃言っている言葉です。彼らは社会人になったら結果を出さないといけない世界に飛び込んでいく。だからこそ大学生の内に結果にこだわることを日常化して欲しい。
もちろん過程をおろそかにしてはいけなくて、結果を求めて努力をすることを大切にして欲しいんです。僕は現役時代に凄く良い指導者に恵まれていて、布先生、大榎克己(現清水エスパルスGM補佐)さん、オズワルド・オリヴェイラ(現浦和レッズ監督)さん、松田浩(現V・ファーレン長崎育成部長)さん、反町康治(現松本山雅FC監督)さん、チョウ・キジェ(現湘南ベルマーレ監督)さん、柱谷幸一さんと優れた指導者に教えてもらった。そこで学んだことが大きな影響をもたらしています。
全員に共通しているのが『勝ちにこだわるサッカー』で、個性を活かしながら、必ず規律と規則があり、常に物事のディテールにこだわる。それを日常化することで、勝者のメンタリティーを養う。この過程を選手として体験できた。今は伝える側として、学生達に熱意を持って訴え続けています」
この信念を選手達は見事に具現化した。明治学院大はスポーツ推薦がなく、さらに都リーグ所属であること、練習環境も学校の人工芝グラウンドは他クラブと共用のため半面しか使えず、そのグラウンドすらも使えない日は土で練習をしている状況である。