日々是バスケBACK NUMBER
八村&ファジーカス加入で劇的変化。
歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。
posted2018/07/09 11:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Kiichi Matsumoto
日本のバスケットボール・ファンにとって、忘れられない、悔しい試合がある。
2006年8月、日本で開催された世界選手権グループラウンドの対ニュージーランド戦だ。その2日前のパナマ戦で勝利をあげていた日本は、格上で勝ち目はないとみられていたニュージーランドとの試合でも、持ち味の速い攻撃を生かして主導権を取り、前半が終わって38-20と予想外の18点大量リード。勝てば史上初のグループラウンド突破というチャンスを前に、ファンはつかの間の夢を見た。
しかし、後半に入って続けてミスを誘われ、追い上げられ、最後は連続3Pシュートを決められて逆転負け。
勝ちきることの難しさ、ホームの味方の応援が逆にプレッシャーとなることの怖さを痛感した。
その後の日本バスケ界の迷走もあり、日本の限界の象徴として、人々の記憶に刻まれてしまった。
唯一残る当時のメンバー竹内の悔恨。
当時の代表メンバーで、今夏も唯一代表メンバー入りしている竹内譲次(現アルバルク東京)は、あの時の大会で自分の力を出し切れなかったことを後々まで後悔したという。
「あの時はまだ21歳で、試合にはそこそこ出させてもらっていたんですけれど、代表チームについていくのが精いっぱいだった。あまり我を出せなくて、すごくもったいないことしたなっていうのがずっとあった。
世界選手権に出て、ダーク・ノビツキー(ドイツ代表)だとかパウ・ガソル(スペイン代表)がいるチームとやるなんて、人生の中でそう何回もないチャンス。もちろん、試合の流れのなかで、チームの決まりごともあるんですけれど、あの時の自分に何か言えるんだったら、『もっと我を出すんだった』。国際ゲームになるといつも思うことですね」