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八村&ファジーカス加入で劇的変化。
歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/07/09 11:00
世界ランキング10位(アジア1位)の豪州戦。序盤から強気の攻めを見せて日本代表チーム全体にスイッチを入れた八村塁。
'06年には田臥勇太は代表参加できなかった。
9月から始まる予選2次ラウンドは1次ラウンドでの2勝4敗という成績を持ち越すため、決して楽な戦いではない。
それでも、今回の歴史的な勝利によって、個々の選手の海外での経験と成長が最終的に代表の底上げにつながるという実績を作ったことは大きな意味を持っている。
そのことも12年前からの変化のひとつだ。'06年には、当時NBA挑戦していた田臥勇太(現栃木ブレックス)が代表合宿に参加できないため、早々に代表候補から外れた。同じメンバーで完成度を高めることだけが、代表強化の道だと信じられていたのだ。しかし、世界を相手に戦うためには、ベースの力を引き上げることも必要だし、変化に対応できるチーム作りも重要なのだ。
「八村と渡邊が合流することがすごく重要」
強豪アルゼンチン代表のヘッドコーチを務め、世界の頂点をしっているフリオ・ラマスHCは言う。
「ルイのような1人の青年が、日本人でアメリカに行って、向こうであれだけ活躍しているということは日本全体の夢がそこにあるということ。そのことは元々いた代表選手たちもみんなわかっているから、彼らもそういう選手をしっかりサポートしてあげたいという気持ちがあり、その姿勢を見せてくれた」
さらに、こうも言った。
「9月はもっといい試合ができるんじゃないか、もっといいチームになるんじゃないかと私は思っています。そのためにはBリーガーの選手たち全員に来てもらうことが大事ですし、八村塁と渡邊雄太の2人とも合流してもらうことがすごく重要です。2人とも9月に出場してもらいたい」
9月に行われる2試合のうち1試合は、アジア・ランキング2位のイランとのホームゲームだ。以前なら、いくらホームでの戦いでも諦めムードが漂うところだったが、オーストラリア戦で生まれ変わった日本なら、勝てない相手ではない。強がりでも身びいきでもなく、自然とそう思えるようになったことこそ、オーストラリア戦勝利の成果だ。