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目標は「NBAでプレーすること」。
八村塁、17歳の明るい宣言。
posted2015/09/28 12:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
AFLO
17歳の高校生、八村塁(宮城・明成高校3年)は、今、注目の“ハーフの高校生アスリート”の1人だ。
もっとも、本人にしたら“ハーフの高校生アスリート”などというカテゴリーでくくられるのは嫌かもしれない。そう思って尋ねてみると、まったく気にならないという。それどころか、八村自身もこの夏に高校野球で人気者になったオコエ瑠偉や、世界陸上の200mで準決勝に残る快挙を成し遂げたサニブラウン・アブデル・ハキームのことは、仲間のような気持ちでいるのだと言う。
「(彼らは)一緒のような感じなので、スポーツで活躍してくれると、自分も色々と刺激をもらいますし、嬉しいです」と顔をほころばせる。
八村はアフリカのベナン共和国出身の父と、日本人の母を持ち、富山で生まれ育った。父の母国ベナンには、子供の頃に一度だけ行ったことがあるという。
「あまり記憶がないんですけれど、みんなが想像するようなトラとかそういう動物はいなくて、普通の街でした。バイクが多かったのを覚えています」と記憶をたどる。
どこまでも明るい17歳のホープ。
日本でハーフとして暮らしていると、時に苦労することもあるのではないかと聞くと、こちらが拍子抜けするほどあっけらかんと「全然ないです」と言い、続けた。
「絶対にハーフでよかったです。それは、もう言い切れます。本当によかったです。いい身体、運動能力をお父さんからもらって、いろんなところでハーフでよかったと思います。たまにハーフで色々苦労したという人もいますけれど、自分は全然(ないです)」
ジロジロと見られたり、日本語がわからないと思われて、近くにいながら「あいつ、でかいな」などと噂話をされることもあるというが、「気にしないですね」と笑う。
このあっけらかんとした明るさが、彼の持ち味だ。この夏、高校生ながら日本代表候補に選ばれ、20代、30代の選手たちと共に合宿に参加し、台湾での親善大会、ジョーンズカップに出場していたときでも、まわりに物怖じすることはなかった。