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八村&ファジーカス加入で劇的変化。
歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/07/09 11:00
世界ランキング10位(アジア1位)の豪州戦。序盤から強気の攻めを見せて日本代表チーム全体にスイッチを入れた八村塁。
「僕らも勝てるということをみんなに伝えた」
「僕はチームのリーダーとして、僕らも勝てるということをみんなに伝えるようにした。“アンダードッグ”が勝つことはよくあることだ。NCAAトーナメントでもよくある。僕はいつも、どんな試合でも勝つつもりで向かっている。
FIBAの人たちは誰も、僕らがオーストラリアに勝つとは思ってもいなかった。でも、僕らはそのことで、余計にやる気が出た。オーストラリアが(日本まで)長いフライトで来たことは知っていたし、彼らにとっては難しい戦いだということもわかっていた。そこを突いたのさ」(ファジーカス)
2人の活躍は、チームの他の選手たちにも好影響を与えた。
12年前に「我を出せなかった」と後悔し、世界と戦うたびに、その思いを持ち続けてきた竹内も、この試合後には、自分の持てるものをすべて出し切ったという満足の笑顔を見せていた。
八村やファジーカスが活躍するのをただ見ているだけでなく、自分でも、チームが勝つために必要な「我」を出し、相手の隙をついて自ら攻め、ディフェンスでも運動能力の高い相手に得意なプレーをさせないような工夫をして抑え、勝利に貢献した。それは、1カ月間の練習で常にひとまわり若い八村とマッチアップし、「年齢関係なしに負けたくないという気持ちでやって、ひとつ成長できた」ことの成果でもあった。
2月に1点差で負けた相手に40点差をつけて圧勝。
竹内だけではない。
2人が加入するまでチームのエース役を担ってきた比江島慎(シーホース三河)や、躍動感あふれるプレーが持ち味の馬場雄大(アルバルク東京)など、まわりの選手たちも皆、八村やファジーカスが戦いやすいようにサポートする一方で、彼らに任せきりにすることなく、自分たちの味を出した。
自信をつけた日本は、7月2日のチャイニーズ・タイペイ戦も、敵地での試合にもかかわらず、108-68と40点差をつけての圧勝。2月のホームゲームでは1点差の敗戦を喫した相手で、負けたら予選1次ラウンドで敗退というプレッシャーがかかった試合でもあった。八村や竹内がファウルトラブルで苦しんだが、それでも完勝し、2次ラウンド進出を決めた。