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八村&ファジーカス加入で劇的変化。
歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/07/09 11:00
世界ランキング10位(アジア1位)の豪州戦。序盤から強気の攻めを見せて日本代表チーム全体にスイッチを入れた八村塁。
アジア・ランキング1位の豪州に勝利!
あれから約12年の年月がたち、6月29日、ようやく、日本代表は当時の悪夢の記憶を上書きするような試合を戦うことができた。
FIBAバスケットボール・ワールドカップアジア予選1次ラウンドのオーストラリア戦で79-78と1点差の勝利をあげたのだ。
現在、FIBAアジア・ランキング1位のオーストラリアは多くのNBA選手を輩出している強国で、男子日本代表はこれまでに一度も勝ったことがない相手だった。NBA選手が1人も参加しなかった2月の試合でも、敵地で24点差をつけられて負けている。しかも、今回は現役NBA選手が2人加入した。フルメンバーではないが、それでも、日本がこの試合で勝ち点を取るのは難しいと、多くの人が思っていた。1次ラウンド通過だけを考えると、同時に行われていたフィリピン対台湾で台湾が勝たない限り絶対に勝たなくてはいけない試合というわけでもなく、3日後のチャイニーズ・タイペイ戦に勝負をかけて主力温存という策もありなのではと思われた。
それでも、日本は本気で勝ちを狙い、実際に勝利という金星を勝ち取った。
新戦力の2人。八村とファジーカスがチームを牽引。
12年前と同じように前半に主導権を取り、42-33とリードした後、後半に追い上げられ、3Qに一度は逆転されながら、再逆転し、4Qも一進一退の競り合いの中でつかんだ値千金の勝利。これまでの日本なら負けていたような試合を、見事に勝ちきったのだ。
その原動力となったのが、この試合で新戦力として加わっていた八村塁(ゴンザガ大)と新しく日本国籍を取得したニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)だった。
八村が1Qから13点、ファジーカスが2Qだけで12点をあげ、序盤からチームを牽引した。何よりも、相手がオーストラリアでも勝てるという2人のメンタリティ、怖気ることなく相手に向かっていったプレーが、チーム全体に自信をもたらした。