プレミアリーグの時間BACK NUMBER
イングランドのW杯が久々に熱い!
PK戦の呪いを解く8強で英雄扱い。
posted2018/07/07 07:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Imges
イングランドでは、6月後半から最高気温28度以上の晴天が続いている。珍しい夏日の連続に加え、近年の国際大会とは違って母国代表がW杯に残り続けてもいる。となれば、人々がサッカーとビールに目がないこの国で、水不足ならぬ“ビール不足”が心配されるのも当然だろう。
期待を抑えた静観ムードでロシア大会を迎えた国内だったが、イングランド戦の度に、国民は代表への希望に胸を膨らませ、祝杯で腹も膨らんでいる。
チュニジアとの初戦(2-1)は3大会ぶりのW杯白星スタート。続くパナマ戦(6-1)で、母国W杯史上最多得点でグループステージ突破が決まった。3戦目は優勝候補ベルギーに敗れた(0-1)ものの、準々決勝でブラジルが待ち受けているだろう首位での決勝トーナメント進出を避けられた。この結果も、歓迎された。
12年ぶりの決勝トーナメント勝ち上がり。
2位通過のイングランドは、16強での対戦相手はコロンビアだった。ただ試合当日の『デイリー・エクスプレス』紙の見出しが「レッツ・パーティー」だったように、「祭典ムード」は盛り上がる一方となった。
そのコロンビア戦では、イングランドにとってW杯で初めてのPK戦勝利(4-3)で8強入り。1990年のW杯以来、国際大会で計6度の敗退を招いた「PK戦の呪い」を自ら解くとともに、12年ぶりに決勝トーナメントで白星を記録したのだ。
当日、テレビ局『ITV』でスタジオ解説を担当した往年の名手イアン・ライトは「もう成功を収めたようなもの。なんと言ってもPK戦で勝ったんだから」とニンマリしながら言った。愛国心旺盛な元代表FWの意見には、2440万人とも言われる国内視聴者の大半が同感だったに違いない。
筆者も、イングランドにとっての今大会はすでに成功だと思っている。