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イングランドのW杯が久々に熱い!
PK戦の呪いを解く8強で英雄扱い。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Imges

posted2018/07/07 07:00

イングランドのW杯が久々に熱い!PK戦の呪いを解く8強で英雄扱い。<Number Web> photograph by Getty Imges

進撃のイングランドを率いるガレス・サウスゲイト監督。スーツの着こなしなども注目を浴びる敏腕指揮官だ。

最低レベルの期待が今や「英雄」。

 個人、集団両面で頼もしさを見せる選手への評価も一気に変わった。最低レベルの期待感から「健闘者」となり、コロンビア戦で“呪い”を解いたことで、「英雄」へと変わった。ポジティブな香りを漂わせて準々決勝進出を果たしたことで「好きになった」という意見が目につく。

 もともと、代表への忠誠心は世界最高レベルのイングランド国民だが、愛国心に基づく代表への情熱と、チームのキャラクターに基づく代表への愛着は別物だ。人々が、代表に惹かれるムードの良さは、「フットボールが帰って来る」と歌われる『スリー・ライオンズ』が国内全体のBGMになっていた、自国開催の'96年の欧州選手権以来だろう。

 果たして、当時と同じく8強の壁も超えられるか――。

 相手はスウェーデン。期待が持てる。

 もちろん、サウスゲイトが言うとおり「甘くみてはいけない」。曲がりなりにもドイツのいたグループから首位で勝ち上がってきたチームで、予選でもオランダを抑えてグループ2位につけ、プレーオフでイタリアを下しているのだ。勢いの面でも、24年ぶりの8強で士気が高まっていることは間違いない。

スウェーデン最終ラインの背後をつけば。

 ズラタン・イブラヒモビッチという巨大なタレントが抜けたスウェーデンは、組織力でしぶとく結果をもぎ取っている。キーマンは、キャプテンを務めるCBのアンドレアス・グランクビストだろう。

 ただし、それはイングランドのボール支配を許してくれる相手だとも言える。グランクビストと、昨季プレミア1年目で苦戦したビクトル・リンデロフ(マンチェスター・U)のCBコンビは、高さはあるが速さに弱いからだ。

 ポジショニングの良いケインとスピードあるラヒーム・スターリングを、ジェシー・リンガードらがサポートするイングランド攻撃陣にすれば、背後に抜けるチャンスを十二分に創り出せる。もしカウンターを受けたとしても、フィニッシャーのマルクス・ベリは今大会で計13本のシュートを放ちながら無得点。ここ一番での決定力は、イブラヒモビッチとは雲泥の差と言っていい。

 4-4-2システムの後ろ2列を下げて守る相手に対して、ボール支配率の高さがチャンスの数に比例しないことは考えられる。しかし、現在のイングランドが苛立ちや焦りに駆られないチームであることは、先のコロンビア戦でも確認されている。120分で決着がつかなかったとしても、PK戦勝利の経験値を得たばかりだ。

【次ページ】 ロンドン市内にもイングランド国旗が。

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