月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
西野ジャパン、ボール回しの絶望と希望。
日本のマスコミが考えるべき課題とは。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/07/02 17:00
ボール回しに賛否両論あるのは確かだが……ピッチ上では監督と選手たちの意識にまったくズレは無かった。
「フェアプレーポイントで決めるのがナンセンス」
W杯キャップは、
「西野監督が会見で漏らした複雑な思い、選手への気遣い。(現地で)見て聞いたから思う。批判もあるだろうが、これは『あり』だと。決勝トーナメントには進んだ。最優先するべきはそこ。潔く散るより、不格好でも批判されようとも、次に進んだ方がいい」
しかし別の記者は、
「『自力』を放棄し『他力』に頼った。目の前の相手に勝つために全力を尽くすのがフェアプレーならば、アンフェアだ。(略)この日の試合が世界から称賛されることはない。」
と書いた。
セルジオ越後氏は「フェアプレーポイントで決めるのがナンセンス」からの「何よりベルギーに勝たなければ、日本の評価はさらに下がる」とマイペースでいろんな方面を突き放す。
「何かが、大きな何かが変わりそうな気がする」
スポーツニッポンに掲載されている金子達仁氏(スポーツライター)のコラムも「流れ」で読むと面白かった。
セネガル戦を終えてのタイトルは、
「日本代表と日本が結びつく初めての好機がやってきた」
《18年6月24日の日本は勤勉だった。まだまだ改善の余地が多々あるとはいえ、セネガルよりは緻密だった。苦境に立たされても逆上することなく、悪質な反則や見苦しい行為は皆無だった。何があっても諦めなかった。(略)
このスタイルを貫いていけば、そのうえでポーランドを倒すことができれば……何かが、大きな何かが変わりそうな気がする》
いまも日本を弱小国としか見ない人は多いが、このサッカーを続けていけば《美しい独自の伝統文化を思い浮かべる人が出てくる。大災害に見舞われても秩序を失わなかった国民性に思いを馳せる人が出てくる》
結びは、
《ポーランド戦が、いよいよ重要になってくる。たとえこの試合で東欧の古豪に最後の一太刀を浴びることになろうとも、今大会で日本がなし遂げたことが消えるわけではない。だが、勝てば、日本代表と日本が結びつく。これは、史上初めてやってきた好機である》
そして、あのポーランド戦である。