フランス・フットボール通信BACK NUMBER
イニエスタ「パスこそが最善の方法」
シャビらが語るその本当の特別さ。
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byFlorent Torchut
posted2018/06/25 07:00
イニエスタの故郷、人口2000人ほどのフエンテアルビージャ村。広場には、2010年のW杯決勝で伝説のゴールを決めたヒーローの銅像が立つ。
シャビとイニエスタの素晴らしい補完性。
われわれが抱くイメージと同様に、バルサの現実の歴史においてもシャビとイニエスタは分離不可能であり、ふたりの補完性は他に類を見ないものであった。
13シーズンにわたり同じピッチに立ち、400試合以上――正確には413試合を同じバルサのユニフォームを着てプレーした。
最盛期が'08~'12年のペップ・グアルディオラの時代であったのは論をまたないにせよ、13年の間に彼らは8人の異なる監督のもとでプレーした。
彼らがともに受肉化していたのは同じバルサのDNAであり、それが体現しようとするひとつの価値観だった。
あるとき、イニエスタはこう語っている。
「パスは僕らのプレーの肝だ。僕らが見いだした勝つための最善の方法、それがパスなんだ。だからパスは僕らの最大の特徴でもある」
グアルディオラの戦術との親和性。
元FCナントの監督であるジャン=クロード・スオドー(ジョゼ・アリバスが作りだしたショートパススタイルを'70年代に発展させた)は、グアルディオラがその栄光とともにバルセロナを離れる際に、『So Foot』誌のなかでこう指摘した。
「グアルディオラはパスという戦術を現代風に改良した。そしてパスこそが、このチーム(バルサ)に唯一無二とも言える知的なプレースタイルの構築を可能ならしめた」
さらにナントにおけるスオドーの後継者で、“バルサ・スタイル”の信奉者でもあるダニエル・デヌエックスは最近こう語っている。
「イニエスタがチームに加わり、監督が彼にゲームの構築を委ねた瞬間から、彼は何の問題もなく仕事に着手する。なぜなら彼のプレーのベースとなっているのがまさにそれ――『交換』しあうことであるからだ」