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トルシエが考えるW杯のスタメンとは?
「パラグアイの勝利は何も保証しない」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/17 07:00
W杯本番前の西野ジャパンの合宿風景。わずか3週間で、どこまでチームをまとめられるか?
「3週間でグループを再構築し自信を取り戻した」
「日本が試合に勝ったのはボーナスだ。
2つの失点を喫しながら4得点を決めたのは、ほのかな光明ではあった。小さな自信の光がグループの中に灯った。疑念に苛まれていたとまでは言わないが、ヴァイッド解任により難局に直面していたグループに、多少なりとも自信が戻ってきた。
たとえこの試合が酷いレベルで対戦相手が弱かったにせよ、それでも勝利は勝利だ。西野監督は閉塞した状況に一撃を加えることができたと思う。
本番までの3週間で、チームを完全に掌握するのは簡単ではない。
3週間で3試合。ふたつは敗北を喫したが、それでも情報の収集には成功したし、必要なものは得られた。
グループの構築にも成功して自信もある程度回復した。控え選手のすべてにプレーの機会を与えたから、全員が必要な戦力であることを確認できた。これもまた西野監督の成功だ。彼は3週間の間にグループを再構築し自信を取り戻した。
だが私の評価では、昨日(6月12日)の試合はテストマッチではなかった」
日本のメディアの主張に驚かされた!?
「テストマッチではなかったというのは、パラグアイのレベルがテストマッチというにはほど遠かったからだ。もちろんコロンビアはパラグアイではない。
ただ、日本の選手はそれぞれが能力を示して自信を回復し、グループ内に小さな競争が生まれた。西野監督はチームの中にちょっとした競争を生み出すことに成功した。昨日、明らかになったのは、酒井が大会に間に合ったことだった」
――宏樹ですか?
「彼は大会でもプレー出来ることを証明した。西野監督にとって第一の成果だ。乾は2ゴールを決め宇佐美との競争に名のりをあげた。香川も後半の出来が良く、先発でも出場できることをアピールした。私が思うには、そうした成果を得ることがこの試合の目的だった。
驚いたのは、日本のメディアがこのチームをワールドカップでも先発させるべきだと主張していることだ。本当にビックリした」