「君たちはサッカーに何を求めるのか？」

「恐らくはワールドカップが、何か素晴らしいものをもたらしてくれる。国同士の交わり、政治体制を越えた交わりがワールドカップだ。最高のサッカーとそれを実践する国を求めている。そして静かな生活を。あらゆる戦争の可能性、アメリカと北朝鮮の間の緊張感も、サッカーが少しは緩和できるかもしれない……。

　自分たちが何を求めているかをしっかりと認識すべきだ。人生において、ただ結果を求めているのか、それとももっと別のものなのか。

　君たちはサッカーに何を求めるのか？　その点で日本はちょっと何かに取り憑かれているように見える。

　日本はスタジアムをはじめ、サッカーに膨大な投資をしている。そこから結果を求めるのは当然のことなのだが……」

――だからこそ田嶋幸三会長は、監督の交代を決断したわけで……。

「今の私は、ヴィッセル神戸がイニエスタの移籍で成功することを望んでいる。日本人が外国人選手の良さを再認識するいい機会になるのではないか、イニエスタのような魅力的な選手が間近で見られるのは。

　いつの日にかメッシも日本に来ればいい（笑）。中国やアラブ、アメリカにはスター選手たちが行っているのだから、日本にも誰が来てもおかしくはない。

　どこでも人々がサッカーに大きな興味を持ち、日本もその例外ではない。すでに長く日本はその状況にある。サッカーが社会や生活の中でどんな意味を持ち、どんな役割を果たしているかをよく理解している。そしてイニエスタのような選手が、日本に何をもたらすかも」

若手を起用のオーストリアはロシアとドイツに勝った。

――ところで試合は深夜に見ることが多いのですか。

「夜中に人生で何が起こっているかをいろいろ考えているのだが……試合の映像は、親善試合がたくさんあって、それをすべて繰り返し放送するから、見ていると膨大な量になってしまうのでね。まぁ、どうしてそんなに多くの試合を見なければならないのか、と考えてしまうこともあるよ（笑）」

――それはワールドカップのために、見る側も準備しなければならないからですね。

「オーストリア代表はW杯出場こそ逃したが、いい試合をしていた。ロシアに勝ちドイツにも勝っているのだから。評価に値する結果だ。どちらもワールドカップに向けて真剣に準備に取り組んでいる国で、勝つのは簡単ではない。

　それに、オーストリアはチームが若返った。若手を積極的に起用し、彼らに経験を積まそうとしている。機会を与えられた選手たちも、よく走り伸び伸びと積極的にプレーしている。

　どの国も真剣に準備しているから、それぞれの試合がまるでリーグ戦のような様相だ。そうした試合で若く才能溢れた選手が活躍するのはとても好ましい。オーストリアだけでなくドイツも若手を起用して興味深かったが」

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