プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本を代表する名捕手への絶対条件。
小林誠司よ、審判の信頼も勝ち取れ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/06/15 11:30
二塁への送球がコンスタントに1.9秒を切る強肩を誇る小林誠司。盗塁阻止率も非常に高い。
小林が巨人の正捕手だと言い切れる理由。
「そこが彼の最大の持ち味ですからね」
秋山を刺した場面は2-2の同点で迎えた終盤だった。
ここでの二盗阻止が、結果的には9回のサヨナラ勝ちの1つの伏線になったのは確実で、試合後には高橋監督もこう賛辞を送った。
いつも通りに控えめな指揮官の言葉。ただむしろこの当たり前感にこそ、小林の肩に対する監督の絶対的な信頼が伝わってくるようにも感じるのである。
もちろん3割を打つ捕手にはかなわないかもしれない。しかしこの守備力で打率2割5分をキープすれば、監督が使いたくなるのは当たり前なのだ。
守備での貢献を考えれば、打撃だけが売り物で2割8分の捕手には負けるわけがない。
それがまさに捕手というポジションの特殊性で、だから小林は揺るぎない巨人の正捕手である。現状では日本代表でもマスクをかぶる可能性が一番高い捕手でもあるのだ。
なぜ試合を中断してまで小林を注意した?
ただ、実はこの小林に守りの面でちょっと別の課題が突きつけられた“事件”があった。
「あの“事件”以来、小林はアンパイアからかなりマークされていますから。だからといって意図的に判定が変わるなんてことはあり得ないですが、ただ彼にとってもチームにとってもプラスにはならないのは確かですね」
こう語っていたのはある審判OBだった。
指摘された“事件”が起きたのは4月22日、甲子園球場で行われた阪神・巨人戦。10-1で巨人が大量リードした9回の阪神の攻撃中だった。
突然、眞鍋勝己球審が小林の前に立って厳しい表情で何かを注意した。試合を中断して、あえて両チームのベンチ、スタンドのファンにも分かるように選手に注意を与える姿は、ただならぬものを感じさせる光景でもあった。
このとき何を注意したかというと、ストライク、ボールの判定に対して小林が再三、不満な仕草を見せたことに対してだった。