プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本を代表する名捕手への絶対条件。
小林誠司よ、審判の信頼も勝ち取れ!
posted2018/06/15 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
久々のタイムリーだった。
6月12日のヤフオクドーム。2回2死満塁から、巨人・小林誠司捕手が左中間に走者一掃の二塁打を放った。小林のタイムリー安打は5月16日のヤクルト戦以来約1カ月ぶり。
「あの場面で打てて自分も楽になった」
本人がこう語ったように、この日は6回にも右前安打を放ち、5月11日の中日戦以来、こちらも約1カ月ぶりのマルチ安打も記録した。
開幕直後は打率トップに躍り出る好調なスタートを切ったが、5月は月間打率が1割3分と急降下。それでも6月13日時点で2割5分2厘と4打数1安打ペースは維持している。今季は打撃が売りのルーキー・大城卓三捕手の加入もあって「うかうかしていられない」という声も聞く。それでも高橋由伸監督の考える正捕手は小林をおいて他にはいないはずである。
その存在感を見せつけたのが、パ・リーグ首位を走る西武とぶつかった6月8日からの交流戦の3試合だった。
小林は「肩で殺せる」捕手である。
この対戦まで西武は両リーグトップの69盗塁を記録。4番の山川穂高内野手を中心にした豪打のイメージがあるが、源田壮亮内野手(20盗塁/6月13日現在、以下同様)、外崎修汰内野手(14盗塁)、金子侑司内野手(19盗塁)らの機動力が西武快進撃の原動力でもある。
しかしこの3連戦での盗塁は0だった。
5月10日の第3戦で7回2死から秋山翔吾外野手が二盗を試みたが、これも小林が低い送球で刺した。西武がこの3連戦で走ったのはこの1度きりだった。
見ることによって相手の動きを封じることを「目で殺す」と言うが、小林の場合は相手の足を「肩で殺せる」捕手だということだ。
盗塁阻止率だけではなく、走ることを諦めさせる抑止力も含めて、それが捕手・小林誠司の存在感ということになるわけだ(この抑止力については『スポーツ報知』の片岡優帆記者のコラムに詳しいのでぜひ読んでみてください!)。