プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本を代表する名捕手への絶対条件。
小林誠司よ、審判の信頼も勝ち取れ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/06/15 11:30
二塁への送球がコンスタントに1.9秒を切る強肩を誇る小林誠司。盗塁阻止率も非常に高い。
小林が見せていた審判への微妙な抗議。
ルールではストライク、ボールの判定に抗議は許されない。ただ、判定を巡って捕手とアンパイアの間では、ある種の駆け引きがあるのも事実である。それは当事者間で密かに行われるもので、それを外に向けて分かるようにやるのは審判への侮辱行為となる。
甲子園の“事件”について、別の審判員に顛末を聞くと、こういうことだった。
小林が際どいコースを「ボール」とコールされた瞬間に再三、ちょっと腰を浮かす仕草を見せていたのだという。その審判員の説明では、審判用語でこういう仕草は「腰を使う」と言うらしい。
「捕球した瞬間に、自分で判定してストライクって腰を使うんです。ちょっとした仕草ですが、それって動作なので周りから見てもすぐに判定に不満があるのが分かるし、それをアピールしているようにも見えるのです」
それに真鍋球審の堪忍袋の緒が切れた、ということだったようだ。
「審判員の間では要注意とマークされている」
周囲に分かるように判定への不満を表明するなら、あえてアンパイアもみんなの見ている前でああして注意を与えたということだったのだろう。
しかも、小林はその後の別の試合でもファウルチップを直接捕球していないのに、あたかも捕球したかのようにアンパイアにアピールして注意を受けたりもしている。
「はっきり言って審判員の間では要注意とマークされている。小林くんは今後も日本代表などでマスクをかぶるキャッチャーだと思います。だとすれば尚更、ああいう風に腰を使ったり、アンパイアを騙そうとする欺瞞的な行為はすべきではない。
国際試合では完璧に審判に対する侮辱行為とみなされ、そうなったら際どいコースはすべてボールに判定される。だから真鍋審判もそのためにきちっと注意したのだと思います」(前出・審判員)
まさかそんなことはないと思うが、小林がマスクを被っているその後の試合では、どうも際どいコースはボールに判定されるケースが多いようにも見えてしまう。
何れにしても決して得にならないことだけは明らかである。