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大島僚太に「自分の全てを教えた」
憲剛流ゲームコントロールの極意。

posted2018/06/14 07:00

 
大島僚太に「自分の全てを教えた」憲剛流ゲームコントロールの極意。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

W杯を前に、期待度が大きく上がっている大島僚太。その成長は中村憲剛という最高のお手本が間近にいたからこそだ。

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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Takuya Sugiyama

「自分の全てを教えたよ。全部を叩き込んだつもり」

 日本代表の壮行試合となったガーナ戦を終えたタイミングの頃だ。W杯ロシア大会に臨む日本代表・大島僚太について、中村憲剛がそんな風に話している。そして、本大会へのエールをこう続けた。

「リョウタがやってくれることが国内組の評価にもつながる。もしやれなかったら、『Jリーグだから』と言われるかもしれない。でもガーナ戦を見た限りでは中心になってやれる。『自信を持ってやれ』と言いましたよ」

 手塩にかけて育てた大島が世界の舞台で躍動する姿を、心待ちにしているようだった。

川崎に憲剛がいるとは知らなかった。

 大島僚太が川崎フロンターレに入団したのは、2011年のことだ。

 静岡学園高校3年生のとき、夏の大会でフロンターレのスカウトだった向島建の目に止まり、秋の練習参加を経て急遽内定となった。決まっていた大学進学を取り消し、異例の「滑り込み」で入団が決定したことは、いまだ有名なエピソードとなっている。

 高校時代は、熱心にテレビ観戦をするタイプではなかった。高3時に開催された2010年の南アフリカW杯も、時差があった関係で試合をしっかりと見た記憶がないという。Jリーグの事情にも疎く、川崎に練習参加が決まった際も、思い浮かぶ選手といえばジュニーニョぐらい。

 日本代表である中村憲剛や稲本潤一の存在は知っていたものの、彼らが川崎に所属していたことを把握しておらず、練習参加前に同級生から言われて、「そうなんだ」と気づいたほどだった。

 ただ先入観がないゆえに、フラットな眼を持っていたとも言える。

「だって、まわりがいくら『すごい!』と言っていても、実際にはそうではなかったりすることってあるじゃないですか」と笑っていたのを覚えている。周囲の評価や名前ありきで、実力を評価したりもしない。あくまでピッチに立った自分の肌感覚を大事にしているのは、現在と変わっていないところだ。

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