Jをめぐる冒険BACK NUMBER
仲介人、社長、実況アナウンサー。
西岡明彦の24時間365日サッカー人生。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2018/04/20 10:30
元広島・森崎浩司のユニフォームの前で笑顔を見せる西岡明彦氏。彼もまたサッカー界に不可欠な存在だ。
森崎兄弟のマネジメントも担当。
ところが、西岡の意に反して会社は次第に大きくなっていく。
かつての西岡と同じようにイギリス留学から帰国した若者を受け入れ、中継資料の制作を請け負うようになり、西岡を慕う若いアナウンサーを迎え入れ、サッカーの仕事に関わりたいけれど、どうすればいいのか分からない若者たちの相談にも乗った。
さらに、西岡と森保の関係に憧れていた森崎和幸、浩司の兄弟がマネジメント・代理人契約を申し込んできたのだ。
「ええ? 俺やったことないよって言ったんですけど、それでも構わないと。それなら出来る限り頑張ってみるよっていうことになって」
次第に「Footmedia」は、アナウンサーや解説者の所属事務所であり、選手の代理人業やマネジメント業、出版物の企画・編集も行う、西岡の言葉を借りれば「サッカーについてなんでもやる」会社へと発展していく。
こうして西岡は、アナウンサー、会社の社長、選手の仲介人など、複数の顔を持つに至ったのである。
解説者が気持ちよく話してくれるのが一番。
アナウンサーとしての西岡の矜持は、黒子に徹することだ。
CS放送やインターネット動画配信サービスが普及し、国内外を問わず毎日のように何試合も中継されるようになり、実況者が誰なのかまで注目される時代になった。
「それはありがたいことなんですけど、あくまでも主役は試合であり、選手。視聴者が試合を楽しんでくれて、解説者の方が気持ちよく話してくれることが一番。プロのステージを経験した解説者の方の感覚というのは、僕らには分からない。だから、彼らが感じていることを、いかに引き出すか。解説の人に『今日は西岡ちゃんにいろいろ喋らされちゃったな』なんて言われたら、それが一番の褒め言葉ですね」