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長谷部を重用、コバチ監督が一騒動。
タイミング悪すぎのバイエルン就任。
posted2018/04/20 11:30
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Hidezumi Shimazaki
フランクフルター(フランクフルト人の意味)が怒っています。
2018年4月13日。バイエルンがニコ・コバチ監督との3年契約が合意に至ったことを発表しました。コバチ監督は現在アイントラハト・フランクフルトで3年目の指揮をしており、今季限りでフランクフルトを離れてミュンヘンへ向かう予定です。
と、冷静に記してみましたが、僕の住むフランクフルトは今、大騒ぎです。地元の新聞が連日大見出しでコバチ監督やフランクフルト、バイエルンのニュースを報じているのはもちろんのこと、街中でも度々、地元民が「バイヤン(バイエルンの愛称)がウチの監督を強奪した!」と叫んでいるのを耳にします。
僕のアパートから徒歩5分、普段は18時から営業開始なのにフランクフルトのゲームがあるときは14時からお店を開けちゃう酒場のママさんは、
「ニコはねぇ、ニット姿も良いけど、ブンデスで一番スーツが似合う男よね。ナーゲルスマン(ホッフェンハイム監督)なんて、なんか中途半端な半袖着ちゃってダサいでしょ。その点、ウチの監督は本当にダンディ。惚れ惚れしちゃう」
なんて言っていたんですが、今頃は歯ぎしりしているかもしれません。
「ニコの野郎、裏切ったな!」って。
恐ろしいので、まだその酒場には行けていません……。
ハインケス勇退後の後任探しが公に。
そもそも今回のコバチ監督のバイエルン監督就任発表は、タイミングが悪すぎました。3月中旬に現在指揮を執るユップ・ハインケス監督の勇退が明らかとなり、バイエルンの後任監督探しが公になりました。
今季、前人未到の6連覇を達成した盟主の指揮官ですから、そのプレッシャーと責任は計り知れず、その手腕が大いに問われるわけです。
またバイエルンは今季途中にカルロ・アンチェロッティ監督を成績不振で解任し、かつてブンデスリーガ、DFBポカール、UEFAチャンピオンズリーグの三冠を達成したハインケス監督を再招聘した経緯もあり、今回はかなり慎重に指揮官の選定を進めていたはずです。