ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
長谷部を重用、コバチ監督が一騒動。
タイミング悪すぎのバイエルン就任。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byHidezumi Shimazaki
posted2018/04/20 11:30
バイエルンとドルトムントの来季監督を予想する地元新聞。
クロップらの名前も候補に挙がったが。
新監督の選考にあたり、バイエルン首脳陣は「ドイツ語のできる監督」を条件に挙げていました。これはドイツ語が堪能ではないアンチェロッティ前監督が、チーム内で上手くコミュニケーションを図れず主力との軋轢を生んでしまった教訓からだそうです。最近、同じような問題から監督を解任した国もありましたね。
いずれにせよ、バイエルンの次期監督の第一条件はドイツ語を話せること。その上で実績、サッカースタイル、人格などが考慮され、その結果、様々な候補が取り沙汰されました。マインツやドルトムントの指揮官を歴任したトーマス・トゥヘル氏が筆頭だったのですが、バイエルンがオファーしたところ去就を決めていて断られたとか。
その後、ライプツィヒのラルフ・ハーゼンヒュットル監督、リバプールのユルゲン・クロップ監督、ホッフェンハイムのユリアン・ナーゲルスマン監督、フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督などの名前が挙がっていました。
そんななか突然、コバチ監督バイエルン行き決定!
コバチ監督はクロアチア国籍ですが、生まれはドイツの西ベルリン。もちろんドイツ語は堪能です。また、現役時代はクロアチア代表MFとして83試合に出場し、2002年の日韓W杯と2006年のドイツW杯で先発、ドイツ大会では日本代表とも対戦しています。
バイエルンと対戦予定なのに……。
とはいえ最大の決め手は、コバチ監督がバイエルンに在籍した経験があることでした。バイエルンのハサン・サリハミジッチ・スポーツディレクター(SD)は「彼は現役時代にバイエルンでプレーしていたので、このクラブのDNAや構造についてよく分かっています。彼がバイエルンの将来にとって正しい監督であるということを我々は確信しています」と語っていて、いわゆるレジェンドを招聘したと力説しています。
ちなみに、サリハミジッチSDも現役時代はバイエルンの選手で、コバチ監督とチームメイトでした。コバチ監督はクロアチア代表を指揮した経験もありますが、バイエルンが評価したのはフランクフルトでの実績でしょう。
途中就任した2015-'16シーズンは16位、昨季は11位と凡庸でしたが、今季は前半戦から飛ばし、ウインターブレイクを挟んでも好調を維持。現在もシャルケ、ドルトムント、レバークーゼン、ライプツィヒなどと来季のチャンピオンズリーグの出場権争いをしています。
また、ドイツのカップ戦にあたるDFBポカールでは決勝進出を決めており、5月19日にバイエルンと対戦予定です。いや、だから、タイミング悪すぎです!