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長谷部を重用、コバチ監督が一騒動。
タイミング悪すぎのバイエルン就任。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byHidezumi Shimazaki
posted2018/04/20 11:30
バイエルンとドルトムントの来季監督を予想する地元新聞。
両クラブのコメントはまさに泥仕合。
コバチ監督の退任が突如バイエルン側から発表されたことでクラブ内は大混乱。コバチ監督は以前、「来年もここ(フランクフルト)で指揮を執るかどうかを疑う理由がない」なんて言いつつ、「サッカーではいろいろなことが起きる。明日何かあるかもしれないし、それが何かは私には分からない。今のままであれば、私は2019年までフランクフルトの監督だ」と曖昧で、去就に関しては不透明な状況でした。
けれども、結局はバイエルンへ。フランクフルトのフレディ・ボビッチ取締役が怒りを露わにして「腹立たしさを覚えているよ。プロフェッショナルと呼べるものではないし、敬意に欠けている。ブンデスリーガでこんなレベルの話は聞いたこともない」とコメント。
バイエルンのウリ・ヘーネス会長も「第一に我々は非常にプロフェッショナルに振舞った。ニコ・コバチの契約に含まれた条項を利用しただけだからだ。第二に、フランクフルトにいつ伝えたらいいか我々は長い間考えた。通常のようにシーズン後に伝えることもできた。だが、彼らが新しい監督を見つけられるよう、できるだけ早く伝えることにしたんだ」と返答。まさに泥仕合です。
長谷部も動揺を隠しきれない様子?
コバチ監督にリベロの才能を見出されて、今季はスタメン出場を続けている長谷部誠も「もちろん、その話題で持ち切りになりますけど、自分たちには明確な目標がありますし、そういう部分では本当の真価を問われるのはこれからかなという感じがします」と動揺を隠しきれない様子です。
そんなフランクフルトは、監督退任決定直後のリーガ第30節レバークーゼン戦で1-4の大敗を喫し、順位を一気に7位まで下げてしまいました。ヨーロッパ大会への出場権やカップタイトル獲得が懸かる大事な終盤、チームに混乱をもたらしたバイエルンに対して、一市民として怒りを覚えます(先日、住民登録を済ませました)。
フランクフルトは市民にとって街の象徴です。クラブエンブレムは街の紋章と同じ犬鷲。クラブマスコットは着ぐるみではなく、本物の犬鷲『アッティラくん』です。また、アイントラハトとはドイツ語で「一致、団結」の意味。「団結」という言葉に、“ともに生きる”という強い意思を感じます。
ちなみに今、僕の住んでいるアパートの大家さんの娘さんはバイエルンのファン。
「だって、アイントラハトは弱いじゃない。強いチームのほうが魅力的よ」だそうです。そりゃあ、フランクフルトにも全国区であるバイエルンサポーターはいます。