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ダニエル太郎は楽しむテニスを貫く。
両親が育んだポジティブな人生観。 

text by

吉谷剛

吉谷剛Tsuyoshi Yoshitani

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photograph byHiromasa Mano

posted2018/04/18 11:30

ダニエル太郎は楽しむテニスを貫く。両親が育んだポジティブな人生観。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

2017年全米オープン、父ポールさんとともに笑顔のダニエル太郎。

人生観の根底には「楽しさ」がある。

 さらに今年からダニエルは錦織圭もいるフロリダ・ブラデントンにあるIMGアカデミーに拠点を変えた。「やっぱりこっちの方が大会も多いし、(大会の合間で)練習をするのにも便利。ただ生活するには東京の方が楽しいですよね。食べ物もおいしいし」と話す。

 トレーニングに移動、大会出場、そして、また移動。世界を転戦するテニス選手の人生は過酷だが、ダニエルの人生観の根底には「楽しさ」がある。それを育んだのは両親だ。

 父ポールさんを偶然見かけたのはマイアミでのLLの待機最終日、西岡との練習中だった。ダニエルの後方で球拾いをしたり、ベンチで休憩する息子にサーブの身振りをしながら話しかけていた紳士、それがポールさんだった。

 現在はオランダに住むポールさんはマイアミから車で1時間ほど離れたフォートローダデールに出張があったため、会場入りしたとのことだった。

 おせっかいを承知で「太郎くんはいつも記者会見で『父親がテニス選手に導いてくれた。お父さんが一番のサポーター』だと言ってますよ」と伝えると、ポールさんはうれしそうに目尻を下げた。

12歳以下の大会も今も、同じ誇りを。

 ダニエルは「いや、まだ自分からは(お父さんに)言ってないんで」と恥ずかしそうに笑った。アカプルコのように本戦入りの幸運には恵まれなかったが、LLでの1番手で待機したからこそ、2人の時間ができたし、父親は息子の練習を見ることができた。これも1つの「ラッキー」に思えてならなかった。

 ダニエルに両親についての質問をぶつけた。

「今でも12歳以下の関東大会で全日本への出場を決めた時のうれしさと、(ツアーで)予選突破したときのうれしさはそんなに変わらない。(テニス選手の親の)中には暴力というか、虐待みたいなことをする人もいるじゃないですか。そうじゃなくて、自分の親は12歳以下の大会でもプロになってからでも、同じように自分を誇りに思ってくれているのがうれしいかな」

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