プレミアリーグの時間BACK NUMBER
国民の心に火をつけるリバプール。
CL制覇を実現できる幾つかの理由。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/04/14 11:30
プレミアで独走するシティを下したリバプール。CLでの強さは伝統となりつつある。
デブライネとのMVP争いはどちらに?
チャンスメイクに関しては、今季アシスト王争いをリードしている、シティのケビン・デブライネが上という声もある。確かにクロスやラストパスの精度は、観客を唸らせるほどの一級品だ。
また両者の一騎打ちと目される年間最優秀選手賞争いは、デブライネが有利とも言われている。
ただ、イングランドにはもう1つ、FWA(記者協会)選定の最優秀選手賞がある。4月末の投票期限を前にしたCL準々決勝で、デブライネを凌ぐ影響力を見せたサラーに気持ちが傾いた記者も多かったのではないか?
少なくとも筆者は「マジシャン」をもじって「エジプシャン」と呼ばれている、サラーに1票を投じた。
心許なかった守備面にも向上の跡が。
CL優勝が現実的と見る向きには、シティ戦で見せた守備面も見逃せない。正直、開幕時点では守備力を評価するとは夢にも思わなかった。しかし、3点リードを守った第1レグの終盤、さらにボールを支配された第2レグでの90分間を通して、クロップ率いる積極派集団は受け身の戦いにも対応できることを証明した。
個人的にはMVPとして、中盤3センターの一角を務めたジェイムズ・ミルナーを挙げたい。SBから前線アウトサイドまでこなせる“マルチ”だが、その才能はセントラルMFとして最大限に発揮されている感がある。
今季CLでチーム最多の8アシストを記録し、中盤でカウンターの起点にもなっている。中盤の底を務めたジョーダン・ヘンダーソンとジョルジニオ・ワイナルドゥムを上回る重要度だ。
第1レグでは幾度となく敵の攻撃を寸断し、チームの全3得点に絡んだ。より深い位置で守る場面が増えた第2レグでは、計4度のシュートブロックで貢献した。相手のレロイ・サネをオンサイドにしてゴールを許した場面でも、オフサイドの“誤審”に救われた。
ミルナーは、勝利の女神が肩入れしているのでは、と思わせる選手なのだ。