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国民の心に火をつけるリバプール。
CL制覇を実現できる幾つかの理由。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2018/04/14 11:30

国民の心に火をつけるリバプール。CL制覇を実現できる幾つかの理由。<Number Web> photograph by Getty Images

プレミアで独走するシティを下したリバプール。CLでの強さは伝統となりつつある。

フィルミーノ、マネ、サラーが絶好調。

 リバプールの前線トリオは、個々の持ち味が異なる点でも頼もしく、相手にすれば嫌なトリオに違いない。中央のロベルト・フィルミーノは、26歳ながら熟練者のごとく得点に絡む一方で、精力的なプレッシングを欠かさない。左サイドのサディオ・マネは、抜群のスピードを持ち、ゴールを目指す姿勢もよりダイレクト。

 そして逆サイドのモハメド・サラーは今季、軽快なフットワークと冷静沈着なフィニッシュでゴールに絡むワールドクラスに大化けした。

 試合を重ねるたびに、3人の呼吸は良くなる一方だ。準々決勝の第1レグ(3-0)では、フィルミーノが敵を脅かした流れからサラーが先制のネットを揺らし、サラーのクロスからマネがヘディングで3点目を奪取した。

 先制を許したリターンマッチ(2-1)でも、サラーとマネが絡んで同点のアウェーゴールをもぎ取っている。そして2点目は、GKエデルソンにプレッシャーをかけようとしたサラーの動きが、バックパスの選択肢を消されたCBニコラス・オタメンディの動揺を招き、間接的にフィルミーノのボール奪取とゴールをお膳立てした。

ここまで39ゴール11アシストの大暴れ。

 とりわけサラーは、相手DF陣にすれば手がつけられない状態だ。第2レグでのゴールの時点で、移籍1年目にしてで公式戦合計39ゴール11アシストの数字は圧巻だ。その数字に裏付けされた自信は、プレミアのFWでも最高レベルと言って差し支えない。

 第2レグでのゴールは一見すると、マネとの1対1を相手GKが防いだ後のこぼれ球を拾って決めただけとも映りかねないが、身を投げたGKの手が届かない位置に回り込み、角度が厳しくなった位置からDFの頭越しにチップキックで決めている。この同点弾は、ゴール前での自信を示す最新例である。

 傍目にはサラーの大活躍が予想外であったことも、周囲がリバプールに心をくすぐられる1つに違いない。昨夏にローマから獲得した際の移籍金3400万ポンド(約51億円)は、巷では高過ぎると言われていた。

 かくいう筆者も、サラーのプレミア再挑戦には懐疑的だった。失敗に終わった2014年のチェルシー移籍当時は純粋な右ウインガー。足の速さはともかく、頭の回転の早さでは競争相手だったウィリアンが明らかに優っている印象があったからだ。

 そこから一転、今季のサラーは瞬時の正確な判断で決定的な仕事を重ねている。

【次ページ】 デブライネとのMVP争いはどちらに?

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