サッカー日本代表 激闘日誌BACK NUMBER
ジャーナリスト田村修一が目撃した激闘の記憶
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byShinji Akagi
posted2018/04/06 10:00
ワールドカップ初出場の夢が断たれ、ピッチに座り込むラモス瑠偉ら代表メンバー1人ひとりに声をかけてまわるオフト監督。
自らの質問に感じたナイーブさ。
熱に浮かされていた私は、10月とはいえ日差しの強いシェラトン・ドーハのプールサイドでボラに聞き返した。ほとんど叫びに近かった。
「あなたは経験、経験というが経験とはいったい何なのか!?」
そのときは沈黙した彼の10数年越しの答えが、前述のコメントだった。経験が足りないのは、選手や協会だけではない。メディアを含め、サッカーに関わるすべての人間の経験が足りない。ボラの目の前に立ち、いたずらに彼に思いのたけをぶつける私自身こそがナイーブな存在だった。
日本がワールドカップに出場するために何が足りなく、それを埋めるためにジャーナリストとして私は何をしなければならないのか。ドーハ以降、そればかりを強く考えるようになった。
日本代表に思いを寄せる人間は、誰もが同じだったと思う。ジャーナリストとしての私の原点はドーハにある。