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ガンバで一番シュートが上手い17歳。
クルピ監督が惚れる中村敬斗の才能。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2018/03/30 10:30
ガンバは序盤戦でなかなか勝ち点が伸びないが、中村敬斗が早くも戦力になったのは長期スパンでプラスだろう。
アカデミー以外で初の飛び級プロ契約。
古くは稲本潤一や宇佐美貴史、近年では井手口陽介や堂安律ら、G大阪では飛び級の高校生プロは決して珍しい存在ではないが、中村はアカデミー出身者以外では初めて飛び級でプロ契約を勝ち取った。
複数クラブが繰り広げた争奪戦の末、U-17W杯でも活躍した俊英が選んだのは大阪の地。いや、正確に言うならばG大阪を率いることになるブラジル人の名将の存在に惹かれたのである。
「クルピさんがガンバの監督になるというのが一番大きかったですね」(中村)
クルピ監督はかつて率いたセレッソ大阪で香川真司や乾貴士らをブレークさせた名伯楽。だが中村はクルピ監督に育ててもらいたい、と考えているわけではない。
「クルピ監督は若手を育てようというよりは結果を出した選手をシンプルに使うと聞いていた。だからキャンプから結果を出すつもりでいた」
2月の沖縄キャンプではFC琉球相手に2得点。そのシュートセンスは、当然ながらブラジル人指揮官の目にも留まる。Jリーグを熟知したクルピ監督が指摘する日本サッカー界の欠点は「パスは上手いが、シュートが良くない」である。
「一番シュートが上手いし、強い」
浦和戦で中村が決めた初ゴールを問われたクルピ監督は「17歳だが、チームの中で一番シュートが上手い選手、そして一番強いシュートが打てる選手」と試合後の会見でハッキリ言い切った。
その言葉に嘘がないことはここまで出場した試合が物語る。
高卒ルーキー、福田湧矢の開幕スタメンにややかすんだ感があったが、名古屋グランパスとの開幕戦では途中出場するとズドーンと音が聞こえてきそうなパンチの効いたシュートで場内を沸かせると、第2節の鹿島アントラーズ戦でも長沢とのコンビネーションからポスト直撃弾。途中出場ながら、明らかに17歳は相手チームの脅威になっていた。