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ガンバで一番シュートが上手い17歳。
クルピ監督が惚れる中村敬斗の才能。
posted2018/03/30 10:30
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
Getty Images
“飛び級”でプロ契約をかわした17歳は、ストライカーとしての「所信表明」を埼玉スタジアムのピッチ上で体現してみせた。
3月14日のルヴァンカップ・グループステージでガンバ大阪は浦和レッズと対戦したが、三菱養和SCユースから今季加入した中村敬斗は87分、自陣で遠藤保仁のパスを受けるとドリブルを開始。約60メートルを独走しながら最後は西川周作が守るゴールを豪快にぶち抜いたのだ。
遠藤からのボールを受けた瞬間に槙野智章をターンで振り切り、ゴール前では阿部勇樹のマークをものともせず、冷静にフィニッシュ。ロングカウンターの際、中村の目には相手ゴールしか映っていなかった。
記念すべき初ゴールが生まれる9日前、中村は記憶に残るルヴァンカップの名ゴールを問われると、何の迷いもなくこう答えを返していた。
「アデミウソンが1人でぶっちぎったゴール。あれはちょっと衝撃ですね。憧れますね」
FWが個で打開するプレーを。
2016年のルヴァンカップ決勝。G大阪は浦和と対戦して1-1の末にPK戦で敗れたが、アデミウソンはハーフライン付近からドリブルシュートを決めていた。
「あれこそFWが個で打開するプレー。ああいうプレーヤーになりたい」
こう言い切った中村にとっては、正に有言実行の一撃だったのだ。
過去2シーズン無冠に終わっているG大阪のアキレス腱は、絶対的な点取り屋の不在である。アデミウソンが、昨年から悩まされているグロインペイン症候群でキャンプから出遅れ、ある程度計算の立つアタッカーは昨年のチーム得点王、長沢駿と韓国代表FWのファン・ウィジョの2人のみ。しかし、レヴィー・クルピ監督は開幕前から「ケイト(敬斗)には信頼を置いてるし、非常にポテンシャルは高い」とすでに戦力の1人として計算を立てていた。