マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2018ドラフトの稀少な捕手を発見。
スカウト注目の上武大・吉田高彰。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/03/25 09:00
近年、ドラフトにおける有力捕手の人気は上がる一方。吉田高彰も多くのチームが目をつけていることだろう。
昨秋登板していない隠し玉も異常に速い。
そしてリリーフの3番手、5回からマウンドに上がった投手のピッチング練習のボールを見て、ひっくり返った。
スリークォーターからの速球がおそろしく速い。
投手の指先を離れたボールが、あっという間にミットを叩く。バッテリー間18.44mが10mぐらいにしか見えない。
投手・伊勢大夢(3年・181cm83kg・右投右打・九州学院高)。昨秋のリーグ戦にも登板していない。こんな快腕まで隠れているのか、明治大学。
春先の150kmか。速いボールに目が慣れていないシーズン初めによくあるまぼろしの快速球なのか。
打者を相手に投げれば“正体”がわかる。
上武大・先頭の5番・辻井翔真(3年・168cm80Kg・右投右打)だって、あの「履正社」で4番を打っていた男だ。スイング軌道の確かさなら、上武大打線随一だろう。
その腕利きが、伊勢の快速球を捉えられない。差し込まれた二塁ゴロが転がったあとは、6番・山田遼平左翼手(4年・180cm78kg・右投右打・瓊浦高)がかすりもしない空振り三振。7番・宮川海斗右翼手(3年・180cm78kg・右投左打・佐久長聖高)のピッチャー返しもしっかり反応し、テキパキと3人で打ちとってしまった。
「スリークォーターから150キロ近いストレートでしょう。あれで、もう少し腕下げてサイドにしたら、誰も打てないですよね……」
上武大・谷口英規監督も、感心するよりあきれるほどの快速球の伊勢投手だって、考えてみれば、まだこの春で3年生だ。
では新4年、今年のドラフト候補は?
ピカッと光る投手たちが来年のドラフト候補ならば、ネット裏の監督室に居並ぶスカウトたちの今年の“お目当て”は誰なのか。
「去年もいなかったけど、今年はもっとおらんでしょ、キャッチャー。巨人に行った大城(卓三、NTT西日本→ドラフト3位)クラスのキャッチャーがおったらと思うけど。上武のキャッチャー、期待しとるんですけどねぇ……」
スカウトが試合前のシートノックから、彼だけを注目していたという上武大・吉田高彰捕手。
ネット裏のスカウトたちの注目を一身に浴びていたのは、この“学生ジャパン”の捕手だった。