東都大学1部リーグの歴代最多勝利記録。

　2011年秋には東都大学野球1部リーグの歴代最多勝利記録を塗り替える502勝を挙げた高橋前監督だが、そのときのウイニングボールを贈ったのも藤岡だった。

「基本褒めない監督でしたね。たとえば完封しても三振が9個だったら、『あと1個で二桁だったんだけどなあ』とか、なんだかんだと課題を突き付けてくるんです。でも裏では『あいつどうなっているんだ』とかすごく気遣いをしてくれている話を聞くので、不器用な監督でしたけど、本当にいい監督だったなって思います」

　面と向かって、褒められた記憶はあまりない。

　でも、人づてで自分を気にかけてくれているとたまに聞かされる。高校時代は無名な存在だった自分をプロの世界へと送ってくれた切っても切り離せない関係。だからこそプロで文句を言わせない活躍をして、恩返しをしたい想いがある。

　2018年のシーズンはまだ始まっていない。本当の戦いはこれからである。

　気持ちを奮い立たせ、再度一軍の真っ新なマウンドの感触を確かめるまで。藤岡貴裕の心が折れることはない。