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四国ILから西武入団をつかんだ19歳。
伊藤翔が開幕一軍も夢じゃない理由。
posted2018/03/21 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
プロ野球のマウンドで投げたい。
一途な思いが、伊藤翔のピッチングからは伝わってくる。今年2月に19歳を迎えたばかりのルーキーが、開幕一軍入りに向けて必死のアピールを続けている。
オープン戦ではここまで4試合に登板(3月20日現在)。勝敗には関わっていないが、打者28名に対して被安打7、自責点1、防御率1.29と及第点といえる投球を見せている。
「若者らしくて、思い切りがいい。何より打者に向かっていく姿勢がいいですね。それが見ている人にも伝わってくる投手」と、土肥義弘ピッチングコーチもその潜在能力に注目する。
吉野川大橋のたもとで練習したことも。
伊藤は千葉県・横芝敬愛高校から四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスに進み、1シーズン在籍した経緯を持つ。徳島ではメジャーリーグで通算555本塁打を記録したマミー・ラミレスとも対戦し、空振り三振を奪った。徳島での好投がスカウトの目に止まり、プロ入りという夢を叶えた。
「プロの環境はとても恵まれています。専用のグラウンドや室内練習場もある。それに、徳島時代は1人暮らしだったので、寮に入れるのが何よりありがたいですね。一人暮らしのときは自炊から洗濯、掃除までなんでも自分でやりましたから」
一変した環境に伊藤は目を輝かせた。
独立リーグ時代は専用グラウンドがなかったため、雨の日は片道3車線の吉野川大橋のたもとの、雨を避けられる場所を選んで体を動かした。練習とアルバイトの両立にも苦労した。四国ILのリーグ戦は前期と後期に分かれていて4、5月の前期が終わると、後期の始まる8月までは試合がない。そのため6、7月は飲食店でのアルバイトに明け暮れた。
「練習の合間を見て、アルバイトをする毎日でした。何より、今は思う存分、野球ができるのがうれしいです」