球道雑記BACK NUMBER
菅野、野村と共に“大学ビッグ3”と……。
ロッテの左腕・藤岡貴裕、復活の道。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/03/22 07:00
菅野智之、野村祐輔と共に「大学ビッグ3」と称された藤岡。ロッテ、DeNA、楽天がドラフト1位で競合した。
「つまらないサインプレーのミスだったり」
実績のある中堅組ということもあって、石垣島春季キャンプの打ち上げ後は二軍の若手選手らに交じって調整を行った。
3月6日のイースタン教育リーグ・北海道日本ハム戦では先発で6回3安打無失点。6つの三振を奪う好投に、藤岡自身も本来の姿に戻りつつあると実感した。
「感覚的には自分の思うような形で投げれていたと思います。低めにボール球になる変化球を使って空振りを獲りたい場面でも空振りを獲れましたし、多少のミスはありましたけど、ある程度投げれたのかなと思います」
しかし、落とし穴も待っていた。
開幕ローテーション入りのテストも兼ねた3月14日のオープン戦(対オリックス)で藤岡は6回表からチームの3番手として登板すると2回2失点。
自身の二塁牽制悪送球でピンチを広げ、内野ゴロの間と、吉田正尚の右前適時打で失点。試合後の井口監督は、藤岡について質問が飛ぶと手厳しいコメントを出した。
「まだまだ本来のストレートが来ていないのかなと思いますし、つまらないサインプレーのミスだったり、ああいうところがしっかり出来ていないと(一軍の)ローテで回るのは難しいんじゃないですかね」
即日、藤岡の二軍行きが言い渡された。
後日、藤岡に声をかけると3月14日の登板前とは一転して、表情も曇りがちだった。
「悔しさはもちろんありますけど、普段通りやるだけかなと……」
希望する先発ではなく3番手の登板であったこと、マウンドの形状や球場の風景が人工芝を張り替えて変わっていたこと、それらを言い訳にしなかった。
恩師は「相変わらずの辛口で」。
彼には一軍の舞台で活躍して恩返しをしたい人物がいる。
昨年秋の明治神宮大会を最後に46年の東都大学野球の監督生活に終止符を打った東洋大学・髙橋昭雄前監督だ。
「昨年の(優勝)祝賀会で呼ばれたときも挨拶に伺ったんですけど、相変わらずの辛口で。でも自分のことを気にしてくれているのは感じていましたし、凄くお世話になった監督なので寂しい部分はありました」