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W杯前に“直接FKが脅威”と刷り込め。
本田・柴崎が今回のキーマンな理由。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/03/19 12:15
2015年の代表での本田と柴崎。欧州遠征でこういったシーンを再現できるか。
宇佐美、原口、中島がファウルをもらえば。
他でもないハリルホジッチ監督も、かねてより「ゴールを狙える位置でのFKが少ない」と話してきた。タテに速い攻撃では連動性より「個」の攻防が際立ち、それによって相手のファウルを誘えない現実はともかくとして、指揮官もリスタートを生かしたいのだろう。
「FKが少ない」現状の打開策として本田と中島の招集があるなら、このタイミングでチームに加えたのは複合的な意味を持ってくる。
昨年6月以来の復帰となる宇佐美貴史、今冬のデュッセルドルフ移籍で復調傾向の原口元気に中島を含めた3人は、ドリブルで切り込んでいけるタイプだ。彼らの仕掛けによってペナルティエリア付近で直接FKを獲得する、とのイメージを描くことができる(ならば、クラブでのアピールが申し分なく、3人よりハイレベルなリーグでプレーする乾貴士がなぜ選ばれていないのかには、論理的な答えが用意されていないが)。
左足は本田で決まり、右足は柴崎か。
直接FKを獲得したら、キッカーの登場だ。左足は本田で決まりだが、右足は誰か。決まっていない。というよりも、かつての遠藤のような人材が見当たらないのだ。
昨年11月のベルギー戦では、右足の直接FKを吉田麻也が蹴った。コントロールを効かせた鋭い一撃を放ったが、このセンターバックはスペシャリストではない。
直接ゴールを狙えない距離のFKやCKは、ここ最近は井手口がキッカーを務めてきた。彼もまた平均以上の水準を持つ一方で、キッカーとしての実績は薄い。森岡亮太や久保裕也らも候補に成り得るが、彼らもキッカーのイメージはそれほど濃くない。そこで浮上するのは、柴崎岳だ。
'15年1月のアジアカップで、本田と柴崎が直接FKのポイントで相談する場面があった。奇しくも本田と同じ昨年9月以来の復帰となる柴崎を、直接FKのキッカーとして見込んでいるのだとしたら、今回のテストマッチはより有意義で重要な意味を持つ。