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森重真人がルーティンを壊した理由。
W杯のためにも「安定より成長を」。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byYuki Suenaga

posted2018/03/13 11:30

森重真人がルーティンを壊した理由。W杯のためにも「安定より成長を」。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

FC東京の練習場で、森重真人は明るい表情を見せた。W杯まであと3カ月、彼は虎視眈々と狙っている。

安定ではなく成長を目指して。

 2017年が厳しいシーズンになることはある程度覚悟できていた。彼の話を聞いていくうちに、そう思えた。

「去年、筋トレなどトレーニング方法を大きく変えることにしたんです。(自分のなかで)安定みたいな感じになっていたので違和感があって、新しいことを試してみたい、と。変えるということは順調にいかない時期も当然出てくる。苦しみも味わうだろうな、と。

 それでも安定ではなく成長のためには、そうやっていかなければいけないと思っていました。プレー中にケガをしたことは“まさか”でしたけれど、それでもうまくいかないことも覚悟してやっていたので、受け入れられないということはなかったんです」

 自分を見直す、いい機会にしようとした。

睡眠時間を含めて、ルーティンをすべて見直し。

 手術に踏み切ってリハビリに入ると、そのトレーニングに集中できた。周りの人が心配するほど筋トレの量もこなした。

 多くの本を読み、多くの人とも会った。

 ストレッチはどうすればいいか、栄養面、睡眠はどうすればいいか。試行錯誤してたどりついた自分のルーティンを一度壊してみる作業は新鮮に映った。

 たとえば森重は1日8時間の睡眠をずっと守ってきた。

 それをわざと7時間にして自分の体と向き合ってみると、1時間短くするだけで「何だか集中できない時間が出てくる」との結論に達する。自分に合うのはやはり8時間。そうやって一つひとつを実践し、確認した。

「いろんな発見や学びがありました。自分は筋力が足りないなってずっと思ってきたんですけど、実際には使い方に問題があるんじゃないかって気づきました。そういうのがいろいろと逆にありすぎて、困ったほど(笑)。でも学んだり、吸収できたら、次にどれを選ぶか選択していかなきゃいけない。どう決断していくかという作業をしていくことも自分にとっては大きかった」

【次ページ】 「サッカーってこんなに疲れるんだなって」

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