サムライブルーの原材料BACK NUMBER
森重真人がルーティンを壊した理由。
W杯のためにも「安定より成長を」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYuki Suenaga
posted2018/03/13 11:30
FC東京の練習場で、森重真人は明るい表情を見せた。W杯まであと3カ月、彼は虎視眈々と狙っている。
4年前より二回り大きく描く目標。
強い、速い、足元のうまさもある。
身体能力に長けたセンターバックがいつも課題として指摘されてきたのはピッチ上におけるアラート(警戒)の持続であった。しかし、どうだ。負の連鎖を予測し、それ以上を断ち切り、メンタルの波を小幅で乗り切ったのは、自分にアラートを鳴らし続けてきたから。その成果は、きっと復帰したピッチで自ずと表れてくるはずである。
前回のブラジルワールドカップはコートジボワール戦のみの出場に終わった。競り合ったボニーにヘディングを合わされて同点に追いつかれた。勢いづくコートジボワールに追加点を奪われ、逆転負けを喫した。4年前の大舞台から彼は何を学んだのか。
「自分の目標設定が悪かったんじゃないかと思いました。ずっとコートジボワール戦に出ると言い続けてきて、結局その次がなかったんです。3試合出るとか、決勝トーナメントに出て勝つとか、そこまで強く欲しないと現実にはならないんだと学びました。悔しさというよりも僕のなかではまずそっちが頭に残っているんです」
ならば今の目標は?
森重はフッと笑った。
「二回りぐらい、大きめに思い描いていいんじゃないかって思っています」
自分を変えるにはパワーがいる。森重真人はそのパワーを使って、己を変えようとしてきた。
強く欲する意志がさり気なく、飾り気なく伝わってきた。