藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉が本田圭佑に聞いたこと。
「今回がおそらく最後のW杯に」
posted2018/03/05 11:45
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph by
Getty Images
パチューカ移籍後、コンスタントにプレーしている本田圭佑。今年に入ってもこれまでリーグ戦すべてに先発出場を果たしている。メキシコリーグでいまのパフォーマンスが続いていけば、W杯の日本代表メンバーに彼の名前を見つけられるだろう。
シーズン終盤は疲労の蓄積もあり、コンディションの維持は難しくなるものだ。しかし、パチューカでのトレーニングは充実しているようだし、結果が伴うプレーを続けている時は心身両面で充実するため、その心配はない。そもそも好調時は瞬時のプレー判断に迷いがなく、ケガのリスクが少ないものだ。
基本的には、最初にひらめいたプレーこそが一番良い結果を生む。これはドリブル、パス、キープのジャッジが良いということだ。そして常にボールを前に持ち出すイメージを持てば、その分相手にプレッシャーを与え、優位性を保てる。自ずとプレーの成功率が上がる、というわけだ。いまの本田はそんな状況にあると考えていいし、好調を維持しやすい。
「今回がおそらく最後のW杯になる」
昨年、ミラノで2人で食事をしながらゆっくり話した際、本田は「今回がおそらく最後のW杯になるだろう」と言っていた。これまでも彼は、自分の立てた計画に沿い、努力によってまっすぐ人生を進めて来た。今回もきっとそうなるだろう。また開催国ロシアのCSKAモスクワに所属していたわけだから、ロシアW杯への思いは強いはずだ。
いまでもVVVフェンロに行けば、多くのサポーターが本田について聞いてくる。モスクワにも彼のプレーを楽しみにしているサポーターが多くいるだろうことは、想像に難くない。
本田はフィジカルコンタクトに強く、パワー面でも海外選手と対等に勝負できる。彼のようなキープ力のある日本人選手は少ない。守備に時間を割くことが予想されるW杯グループリーグでは、タメが欲しい局面が必ずやってくる。
押し込まれた状況では、立て直すための時間を前線で作れないことが一番苦しいからだ。そんなときに本田のような選手が必要になる。またフリーキッカーが定まらない現状の日本代表では、彼のFKも重要な得点源になると私は考えている。
彼がサッカー人生で培ってきた経験は際立って特別なもの。それは苦境に立たされたときにこそ生かされてきたし、日本代表を助けることだろう。18歳で名古屋グランパスの中心選手としてチームの苦況を支えた彼の精神力は逞しかったが、彼はいまもなお成長し続けている。