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男子スピードスケートも凄かった!
小田卓朗、清水宏保以来の快挙とは。
posted2018/03/04 11:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Ryosuke Menju/JMPA
メダルラッシュとなった女子スピードスケート勢の陰に隠れてしまったが、平昌五輪では男子スピードスケート陣も前回のソチ五輪から上昇に転じる成績を残した。
メダルこそなかったが、入賞数はソチ五輪の2から5へと倍増。今回のNumber「平昌五輪 2018総集編」特集号の取材で通った江陵オーバルでは、4年後の北京五輪につながる幾筋もの光が見えた。
中でも大健闘といえる成績を残したのが、男子中長距離でこのところ急成長を遂げていた25歳の小田卓朗(開発計画研究所)だ。
まずは2月13日の男子1500m。18組中14組目に出た小田の同走は、昨年の世界距離別選手権で男子1000mと1500mの2冠に輝いている今大会の優勝候補筆頭、キエルド・ナウシュ(オランダ)だった。試合前日のドローでナウシュとの同走を引き当てた小田は、序盤からハイペースで滑るナウシュに食らいついていくことで、表彰台を射止めるという作戦を練っていた。
男子1500mで5位は日本史上最高タイ。
号砲が鳴った。最初の300mはナウシュが全体で最も速い23秒22、小田はほぼ同じ23秒25。23秒台前半は34人中、この2人だけだった。
快調な滑り出しを見せた小田にとって、次の課題はラップを落とさずにどこまで粘れるか。ナウシュとの差が徐々に開いていく中、小田は渾身の力を振り絞った。後半に突き放されたものの、1分45秒44で暫定3位。後から滑った2人に抜かれたが、初の五輪で堂々の5位入賞を果たした。
日本人のこの種目の入賞は、'98年長野五輪で7位だった野明弘幸以来20年ぶり。88年カルガリー五輪5位の青柳徹に並ぶ史上最高タイの成績だった。
上々のレースだったように見えた。けれども、取材エリアにやってきた小田は言葉がなかなか出てこないほどの悔しがり方だった。普段は淡々としている印象だった彼の涙に、意表を突かれた。
「悔しい。この種目でメダルを持って帰りたかった。こんなチャンスはもうない。そう思うと悔しくてたまらない。もう少しだった」