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ポドルスキ、憲剛から何を学んだ?
神戸・小川慶治朗、25歳の脱皮宣言。
posted2018/02/23 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Getty Images
いきなりだが、筆者の好きなミュージシャンに1つにMr.Childrenがある。彼らの名曲“名もなき詩”の一節に、『知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいてるなら』という歌詞がある。
これは自分自身や周囲の固定観念にしばられ、本当のあるべき姿を求めながらも、その檻から抜け出せずに苦しむ様を記している。
今、その檻の中でもがき苦しみ、抜け出そうとしている男は、ヴィッセル神戸のエースナンバー13を背負うMF小川慶治朗だ。
小川はヴィッセル神戸U-15に入団後、クラブの記録を数々と塗り替えた。
U-18時代には柴崎岳(ヘタフェ)、宇佐美貴史(フォルトナ)、杉本健勇(C大阪)らと2009年U-17W杯に出場。『プラチナ世代』として注目を集めた。翌年には高3でクラブ初の2種登録選手となると、3月にクラブ史上最年少出場記録をマーク(17歳8カ月13日)。こちらもクラブ史上最年少ゴールを含むリーグ15試合2得点をマークした。
ヴィッセルひと筋だった25歳の苦悩。
2012年には永島昭浩、播戸竜二、大久保嘉人らが背負った13番を託されると、これまた史上最年少のハットトリックをマーク。翌2013年にはJ2ながらレギュラーをつかみ、チームトップタイの16ゴールでJ1復帰に貢献した。
2015、2016年こそ怪我に苦しめられたが、2017年はレギュラーを奪還。オフには国内外クラブからオファーを受けたが残留を決意。今季も背番号13を身につける。
ヴィッセルひと筋。端から見れば“エリート街道まっしぐら”、“安定した存在”かもしれない。しかし、近年の彼の心は大きく揺らいでいた。
特にここ1年間は、これまでで一番自分自身と向き合ったという。