「“自信”を持って“オーラ”に」

　その時、小川には“移籍”という選択肢が浮かんだ。

「移籍する選手は固定観念やイメージを壊したい、もしくはワンランク上に行きたいからなんでしょう。日本人の特性かもしれませんが、周りの空気を読み取りながら“そのままでいよう。それが一番良い”となる。その思いを変えるには、移籍は一つの手であることは間違いない」

　実際、昨季中に小川の移籍報道が流れた。柏レイソルを筆頭に他のJ1クラブ、オーストリアのクラブからも話があった。

「そうした想いもあったので、自分に来たオファーの話し合いに応じながら、話をしながら自分のキャリアを見つめ直す作業もしました」

　揺れ動く彼の決断を後押ししたもの。それは最終的にクラブへの愛情、難題への挑戦だった。

「残留して凝り固まっている印象を覆すのは、相当難しい。正直“移籍した方が楽になるだろうな”とは考えました。でも、僕はヴィッセル神戸が好きやし、神戸でタイトルを獲りたいという想いが強かった。それと同時にこのチームで自分の印象をひっくり返したいと強く思ったんです。そのためには“自信”を持って“オーラ”に変えたい。それを神戸でやりたいんです」

絶対に1対1で勝てる選手になる。

　小川はオファーをに断りを入れ、プロ8年目も神戸で過ごすことを決めた。難題を乗り越える1年をスタートさせたのだ。

「本来、僕が自分に求めるのは“点取り屋”。でも、それがいつしか“自分が試合に出るために”が強くなってしまって、点取り屋の精神を貫けなかった。今年はゴールという結果を残しつつ、積み上げたプレーも継続します。

　具体的に言うと、どのポジションでボールを受けても、絶対に1対1で勝てる選手になる。今は積極的にドリブルで抜く練習をしているし、個で打開していくためには何が必要かを考えている。自分の可能性にチャレンジしたい」

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