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26年目のJリーグは攻めてナンボ!?
キーワードは「カウンタープレス」。
posted2018/02/23 10:30
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
まさに群雄割拠――。
それが四半世紀を迎えたJリーグの「現在地」だろうか。実際、今シーズンも一寸先は闇の戦国模様。J1の優勝争いにしても、J2の昇格争いにしても、絶対的な本命が見えてこない。
J1なら5、6チームくらいに覇権を狙うチャンスがありそうだ。バイエルン1強のブンデスリーガ(ドイツ)やレアル・マドリーとバルセロナの両横綱が君臨するリーガ・エスパニョーラ(スペイン)みたいな「バレバレ」のリーグでは味わえない、サプライズ含みの面白さがある。
何しろ、J1に昇格したばかりのクラブがいきなりリーグ制覇をやってのけることもあるくらいだ。実際、過去10年で2回もあった。2011年の柏レイソルと2014年のガンバ大阪である。
ちなみに、昨シーズンも昇格組のセレッソ大阪が天皇杯とルヴァンカップの2冠を手にした。他の強豪クラブは何をやっていたのか、みたいな話になりかねないが、事の真相は別にある。
そもそも戦力面や資金力を考えれば、J2に降格するようなクラブではなかったのだ、柏も、G大阪も、C大阪も。
グランパスは残留が目標ではないはず。
本来、落ちるはずのないクラブが落ちてしまう。そんな「波乱含み」の残留争いもまた、Jリーグの醍醐味(!?)か。
J元年(1993年)にリーグの覇権を争った「オリジナル10」のなかで一度もJ2に降格していないのは、いまや鹿島アントラーズと横浜F・マリノスだけである。
ちなみに、今シーズンはまさかのJ2転落から1年で戻った「昇格組」の名古屋グランパスが台風の目になる番か。そもそも、J1残留を目標にするようなクラブではないだろう。戦力面や資金力を考えても。
しかも、風間八宏監督の率いる名古屋は「攻めてナンボ」のチームだ。超のつくパスワーク志向。それだけのタレントを抱えてもいるが、普通は強気一辺倒のスタイルを選択しにくい。上位チームとの戦力格差をにらみ、こつこつと勝ち点を拾おうとすれば、守備重視のカウンター志向にならざるを得ない。
ところが、である。今シーズンは例年にも増して、ゲームの主導権を取りに行くポゼッションスタイルのチームが多いのだ。少なくとも、それを「表看板」に掲げている。