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葛西でも「気持ちがひるんじゃう」。
平昌ジャンプ台は、やはり酷すぎる。
posted2018/02/13 12:20
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Ryosuke Menju/JMPA
2月10日に行なわれたノルディックスキー・ジャンプ男子ノーマルヒル決勝は、平昌五輪のジャンプ競技が過酷であることをあらためて実感させた。
日本は小林陵侑が7位入賞を果たし、伊東大貴が20位、葛西紀明は21位、そして今シーズン、ワールドカップ優勝など急成長を遂げた小林潤志郎は2本目に進めずに31位という結果に終わった。
意外な結果は、日本人選手のみばかりではなかった。
例えば小林潤志郎の前に飛んだポーランドのダヴィド・クバキも同じように失速し、88mの92.0点で35位とやはり2本目に進めずに終わっている。
波乱含みの試合となった要因は、風にあった。
「どこのジャンプ台より運、不運が大きい」
葛西は試合を振り返る中で、こんな言葉をもらした。
「ワールドカップなら中止だろう、と心の片隅で思いました」
葛西に限らず、ランディングエリアでも「オリンピックじゃなかったら中止になってもおかしくないよね」という声がいくつも聞こえた。
防護ネットを左右に張り、風のコンディションに応じて動く仕組みを整え、風対策を施したはずだった。
ただ「風が四方八方から吹いているような感じ」(伊東)、「向かい風だったり、追い風だったり、どこのジャンプ台より運、不運が大きい」(竹内択)という気まぐれな風を押しとどめることはできなかった。
そのため、試合はしばしば中断。選手によっては、何度もゲートに座りながら戻され、天を仰ぐ表情も見られた。
そんな風に最もほんろうされたのは、日本勢では小林潤志郎だった。