テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭に憧れた韓国のチョン・ヒョン。
全豪で一躍スターになるまでの道のり。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAP/AFLO
posted2018/01/25 17:00
敗れたジョコビッチから祝福を受けるチョン。試合後、ジョコビッチがチョンを絶賛するコメントを出すほどの強さだった。
錦織も、台湾のルー・エンスンを追いかけてきたのだ。
以前、こんな話をしたこともある。
「昔から、日本だったら(鈴木)貴男さんや添田(豪)君、アジアだったらルーさんのような選手を少なからず意識してきました。アジアの中で、刺激し合ってお互いに上がっていってるのはすごくいい流れだと思います」
ルーさんというのは台湾の盧彦勲(ルー・エンスン)のことで、2010年のウィンブルドンでベスト8入りするなど活躍し、34歳の今も世界ランク77位にいるベテランだ。
2度の対戦はいずれも錦織が勝利しているが、錦織が身近に感じていたルーの足跡を励みにしたという歴史が変わることはない。
チョンは188cmとアジア人としては恵まれた体格だが、その持ち味はジョコビッチ二世と言われるほどの鉄壁の守備と、その屈強なフィジカルが支えるソツのない攻撃、そしてどんなボールもあきらめず、感情を露わにせず戦い続けることができる強靭な精神力だ。錦織がアジア選手に必要だと言った2つのものを、チョンは完璧に備えている。
準決勝の相手はあのロジャー・フェデラー。
錦織に続いて初めて現れたアジアの新星との対戦に、テニス界のカリスマも「ここまでの戦いぶりで彼の芯の強さがわかる。本当に楽しみだ」と語った。
韓国だけではない、アジアの心は大いに高ぶっている。