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1位から70位に落ち……そして優勝!
全豪覇者ウォズニアッキと女傑列伝。
posted2018/01/31 11:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
ちょうど1年前、すでに終わっていたはずのロジャー・フェデラーの時代を再び蘇らせた全豪オープンの舞台は、今年も新たな復活劇を生み出した。
19歳で全米オープン決勝進出を果たし、20歳で世界1位に上り詰めながら、27歳の今までグランドスラムのタイトルを手にしたことがなかったカロライン・ウォズニアッキがついに〈無冠の女王〉を返上。ナンバーワンにも返り咲いた。
21歳でその座を手放してから6年。もともと「返しているだけ」「守備的」として面白味に欠けるテニスと批判されることもあり、グランドスラムで勝つためにはプラスαが必要と指摘されていた元女王は、一昨年の夏には足首のケガの影響もあり、70位台まで落ち込んだ。
優勝記者会見で「何を変えたのか」という質問に、「年を重ねて経験を積んで、自分の力を信じることができるようになった。少しずつ、少しずつ、全ての面において成長してきたということ」と語った。
ふたりの“無冠の女王”が全豪の決勝で激突した!
決勝戦の相手、シモナ・ハレプもまた、全仏オープンで2度の準優勝経験があるもののメジャータイトルをつかめないまま昨年10月に世界1位の座についていた。
今大会は1回戦で捻った足首の痛みから完全に解放されることなく、相手のマッチポイントからの逆転勝ちを2試合経て、三たびたどり着いたグランドスラムの決勝だった。
〈無冠の女王〉のレッテルを剥がしたい両者の意地がぶつかり合った決勝は、2時間49分に及ぶ大接戦に。
ともに足を使ったしぶといグラウンドストロークと緻密なコントロール力が武器とあって、激しく体力を奪い合うかのような攻防をウォズニアッキが制した。
「最後までがんばったけど、ガソリンが切れてしまった」と話したハレプの3度目の敗北の辛さを一番理解したのは、朝までそれを強く恐れていたウォズニアッキだったに違いない。