ぶら野球BACK NUMBER
松坂大輔は少年ジャンプの主人公だった。
「50歳までマウンドに」と語った頃。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byAFLO
posted2017/12/22 07:00
横浜高、西武、レッドソックス、侍ジャパン。当時の好投を知っていれば、松坂大輔という文字だけで湧き上がる想いがあるのだ。
「何歳まで現役?」という10年前の問いに……。
マウンドに立つだけで絵になる男。強烈な光は対戦打者を照らし、見ているファンをワクワクさせてくれた。ここ数年の松坂からはその明るさが失われている。それが昔を知るファンには見ているだけで辛くなってくる。けど「松坂は終わった」とか言ってる野球ファンに限って、いまだにあの頃の松坂を引きずっている。少なくとも、俺はそうだ。
もう辞めた方がいいんじゃないのか。18番の俯きがちな暗く沈んだ表情を見るたび、正直何度もそう思った。充分稼いだし、過去の栄光がなくなるわけじゃない。もうラクにしてやってくれ。グロッキー状態のボクサーを見て、セコンドに早くタオルを投げてやれよと憤るあの感じ。だが、満身創痍の37歳は周囲に何を言われようが、今も這い上がろうとあがいている。恐らく、我々ファンと同じく“過去の松坂大輔”の姿を追いながら。
『松坂大輔の直球主義』に収録された『100問100答』の中で、「何歳まで現役でいたい?」という問いに10年前の松坂はこう答えている。
「50歳まではマウンドに立っていたい」と。