風間八宏監督の教えをスポンジのように吸収した2人。

　当初、筑波大での2人は様々なポジションをこなしているように見えた。

　ボランチ、CB、サイドバック……。

　ポジションが変わっても、2人の連係の精度は一切落ちること無かった。当時の風間八宏（名古屋グランパス監督）監督の斬新な指導を、2人はスポンジのように吸収していったことで、プレーの質は格段に上がっていった。

　筑波大の主軸としてプレーする傍ら、母校である大津高校に対する絆も、2人は忘れていなかった――2人を語る上のエピソードで忘れられない思い出がある。

　2012年12月15日、埼玉スタジアム第3グラウンド。

　この日、翌年のプレミアリーグ参入戦が行われた。

太鼓を叩く谷口、応援を鼓舞する車屋の姿。

　当時、大津高校のキャプテンだったCB植田直通（鹿島アントラーズ）とエースの豊川雄太（ファジアーノ岡山）を擁していた大津は、香川西高校に勝てばプレミア昇格が決まる重要な一戦を迎えていた。

　筆者が取材のために試合会場に赴くと、大きな太鼓を抱えた谷口と車屋に遭遇した。

「後輩の応援？」と聞くと、「はい！　プレミア昇格が懸かった大一番なので、筑波大の応援太鼓を借りてきたんですよ。今日は俺たちが勝たせますよ！」と谷口が笑顔で答えてくれた。

　試合前から、2人と他の大津高校のOBたちはタッチライン沿いに陣取っていた。

　谷口が太鼓を叩き、車屋が後輩達にコールやチャントの指示を出して応援を盛り上げると、ピッチ上で戦っている植田も嬉しそうな笑顔を見せていた。

　試合の結果は――2人の熱烈なサポートのお陰なのか、豊川のハットトリックを含む6－1の圧勝。トドメの6点目は植田が決めており、ゴールを決めた植田は真っ先に先輩達の元に飛び込んできていた。

　試合後、現役とOBが入り交じって全員で喜びを分かち合っていた。そこにいた谷口は、「後輩達に凄く良い刺激をもらいました！　これで僕らも頑張れます」と満面の笑顔で語ってくれた。

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