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楽天ドラ2は187cm110kgの大物。
慶大で化けた岩見雅紀の壮大な夢。
posted2017/12/11 07:00
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph by
Tetsuo Asada
高橋由伸、田淵幸一に次ぎ、岡田彰布を東京六大学リーグ通算本塁打数ランキングでしのいだ大物。
慶應義塾大学野球部・岩見雅紀、23歳。
今秋リーグ戦では史上初となる5試合連続弾を放つなど、歴代3位となる21本塁打をマーク。東京六大学の年間新記録となる12本塁打も達成し、慶大7季ぶり35度目の優勝に貢献した。その活躍ぶりを評価され、今秋ドラフトで楽天から2位指名された。
冒頭に“大物”と書いたのには訳がある。187cm、110kg。
名は体を表すとは良く言ったもので、岩のような大男。慶應ボーイらしからぬ風貌、と言ったら本人に怒られるだろうか。
22日に開催された楽天の新入団選手発表会見。背番号「13」に決まった岩見は梨田昌孝監督の右隣に座り、改めて「新人王」を目標と明言した。
「これからプロ野球選手としてやっていく責任と自覚を感じています。13番は大学時代から付けさせていただいているので、非常に感謝しています。ずっとA・ロッド選手が好きだと公言していますが、負けないくらい活躍できるように頑張っていきたいと思います」
大リーグ通算696本塁打を放ったアレックス・ロドリゲスと同じ背番号を、プロでも背負うことになった。
「岩見くん、絶対、背番号のサイズ小さいよね」
岩見が慶大の一員として六大学野球をプレーしていた、神宮球場でのこと。ネクストバッターズサークルでブンブンとバットを振る姿に、女性ファンはこう口にしていた。
「岩見くん、絶対、背番号のサイズ小さいよね、3分の2くらいの大きさかなぁ。2年生の春に、彼が初めてあそこに立った時に正直、驚きました。“え、お相撲さん?”って。ユニフォームのボタンが弾けそうでしたからね」
11月末の全早慶戦を最後に慶大のユニフォームは脱いだが、毎日の練習は続けている。インタビューの際にそのことについて聞いてみた。
「あ、良く言われちゃうんですよね、それ。背番号、皆と全く同じサイズに決まってるじゃないですか」
それまで緊張気味だった表情から笑顔がこぼれ、頬が赤らんだ。
下半身は泥が染み込んだユニフォーム、上は紺色のチームTシャツ姿。
やはり、大きい。
「この後、応援指導部の定期演奏会に行くので、終わりの時間が決まっているんです。よろしくお願いします」
神宮球場でずっと応援してくれた仲間たちの晴れ舞台を、今度は自分たちが応援する番だと告げられた。実に、義理堅い。